昨日の午前9時30分ごろ、気象庁が北朝鮮付近を震源とする、自然地震ではない通常の波形とは異なる地震波を探知しました。
これらを含む諸情報を総合的に勘案した結果、日本政府は北朝鮮による核実験の実施と判断した模様です。
今年に入って北朝鮮は1月にも核実験を、2月には「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射を強行するなど、短・中距離弾道ミサイルやSLBMを含む大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルを21発発射しています。
それらの能力は明らかに増強しているようです。
これら一連の北朝鮮の軍事増強は、我が国の安全に対するより重大な脅威であることはもちろんのこと、国際社会の平和と安全を著しく損なうものにもなっています。
しかし、事この期に及んで・・・「国連安保理決議の重ねての明白な違反だぁ~」「核兵器不拡散条約を中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦だぁ~」「日朝平壌宣言や六者会合共同声明にも違反するものだぁ~」「北朝鮮に対して厳重に抗議するぅ~」
・・・という日本政府による月並みな「言葉による避難」の繰り返しでは何の解決にもなりません。
シナによる東シナ海・南シナ海への海洋進出もそうですが、これら北朝鮮による一連の強気の行動の背景には、明らかに世界の警察官を担ってきた米国の覇権国としての退潮があります。
当ブログでも繰り返し述べてまいりましたとおり、2003年のイラク戦争及び2008年のリーマン・ショックによって米国は覇権国としての意志と能力を喪失しはじめました。
誰が米国の大統領になろうとも、既に米国が日本を守ってくれる時代は終わっています。つまり「集団的自衛権による日米同盟の強化」など、既に無意味な時代になっているのです。
すべての日本国民及び為政者たちは、この現実を受け入れるべきです。
そして新たな国際情勢に対応した日本の国家戦略を早急に構築することが必要ですし、それと同時に軍事、食料、エネルギー部門等々への技術開発投資を行って国防力(外交力)を高めていくことが求められます。というか、この段階では既に遅いのですが、今からやれることをやっていくしかないでしょう。
そこでネックになっているのがデフレです。
名目GDPが増えていかなければ、上記のような国防力増強にむけて継続的な関連投資を行うことができません。また、日本の名目GDPが拡大せず他国のそれが拡大していくということは、我が国の国防力が相対的に低下していることを意味します。2000年代以降の日本とシナの国防費の差が、それを物語っています。
だからこそ、一刻もはやくデフレを脱却するため、①日銀による量的緩和と、②政府による財政出動による組み合わせ政策が必要です。
昨日、ある民進党(旧民主党)の国会議員が「日銀による異次元緩和も政府の財政出動も効果はなかった」と発言していました。
どうやらこの国会議員は、安倍政権が財政出動を行ってきたと思い込んでいるようです。
・・・ 思い込みで政策議論をするのはやめてほしい。
下のグラフは、一般企業(非金融法人企業)と一般政府(地方政府も含む)の資金過不足の推移です。
本来、正常な資本主義経済では資金不足になるべき経済主体は一般企業です。しかし、需要が不足するデフレ状態が続いて投資先のない一般企業は常に資金過剰になっています。その分、政府が資金不足となって景気を下支えしてきたことがよくわかります。
ただ、2013年、2014年は政府の資金不足が減っています。即ち、安倍政権による緊縮財政です。
そうです。安倍政権はひたすらに緊縮財政を行ってきたのです。したがって「財政出動の効果がない」という批判は全くのお門違いなのです。
こうしたお門違いな空理空論が、我が国のデフレを長期化させ国防力(外交力)強化のための政治を阻んでいるのです。