日銀の金融政策決定会合は、「長期金利の誘導が云々」とか言ってますが、詰まるところ概ね現状維持という結果だったのではないでしょうか。
『金融界、マイナス金利の深掘り回避に安堵
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC21H1M_R20C16A9EE8000/
日銀は21日、金融政策の「総括的な検証」で金利の過度な低下は悪影響を及ぼす可能性があると評価し、マイナス金利の深掘りも見送った。貸出業務への収益依存度の高い地方銀行や運用難の生命保険会社などで安堵の声が広がった。ただ日銀は必要に応じてマイナス金利を深掘りする姿勢を示しており、金融機関は日銀の今後の政策運営を注視している。(後略)』
これ以上のマイナス金利は、実体経済(国民経済)に悪影響を及ぼすゆえに無難な決定かと思われます。
年間80兆円ペースの量的緩和(国債の購入)もそのまま、ということです。再デフレ化している今、量的緩和を止めるわけにもいかないでしょう。
発行された国債の34%を既に日銀が保有しており、民間金融機関が保有する国債は市場の23%(金額にして239兆4122億円)にすぎません。年間80兆円のペースで日銀が購入すると単純計算して3年で銀行の保有する国債は尽きます。実際には2年以内にデッドラインを迎えることになるのではないでしょうか。
政府が新たな国債を発行して資金を調達し、公共事業をふくめて必要な政府支出を行うことが求められています。
例えば一昨日に台風16号は熱帯低気圧に変わりましたが、今回もまた西日本に大きな被害をもたらしました。
北九州市では一昨日の午前1時までの1時間でなんと160mm。日向市では12時間で519.5mmの雨が降ったとのことです。日向市の519.5mmは、平年9月の降雨量の約1.6倍もの雨量にも匹敵するそうです。たった一日でです。
劣化した堤防のメンテナンスはもちろんのこと、更新時期を迎えた堤防等の公共インフラの再整備を進めないと、また昨年9月に発生した鬼怒川の氾濫のような事故が起きてしまいます。
堤防はあくまでも一例です。このような防災安全保障の観点からも、あるいは景気(デフレ対策)や金融政策の観点からも、政府の更なる国債発行(財政出動)が求められています。ここでいう国債とは建設国債(財政法第4条に基づく国債)を指しています。
今後もし、政府(安倍政権)が新たな国債発行を大幅に躊躇すると、やがて日銀の量的緩和が事実上の強制終了となります。デフレを脱却できないままに量的緩和を終了したら、一気に円高が進んで更なる景気悪化に陥ります。当然、株価も大暴落することでしょう。