川崎市の人口は、この5年間で3.5%増え147万5300人となり過去最高になりました。
『人口、最多の147万人 昨年、川崎市まとめ 5年で3.5%増
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO07455920Q6A920C1L82000/
川崎市が国勢調査(2015年10月1日時点)を基にまとめた市の人口は、2010年の前回調査と比べ3.5%増の147万5300人と過去最多になった。(後略)』
人口が増えたことを喜んでいる市政関係者も多数(というか、ほぼ全て)おられますが、そんなに手放しで喜べる話でもありません。
下のグラフをご覧ください。
川崎市民一人当たりの市民所得(市内総生産÷人口)の推移をみますと、リーマン・ショック以降は明らかに減少しており、ピーク時より50万円も減っています。
これは、人口が増加する一方で、まったく経済(市内総生産)が成長していないがゆえの結果です。即ち、川崎市民は総体としてリーマン・ショック以前よりもはるかに貧乏(所得減少)になっているということです。
今年に入って市内インフレ率(コアCPI)は悉くマイナスという異常事態です。(ひと月もプラスに転じていません)
その原因も、当然のことながら川崎市民一人当たりの市民所得の減少が背景にあるのでしょう。
2012年から2013年にかけて少し上昇しているのは、黒田日銀の量的緩和がはじまったことによって円安が進み、為替という物差しが変わった形で市内輸出関連の名目GDPが増えたためです。市内内需は依然として深刻です。
一方、3500万人の人口を抱える東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)という世界最大のメガロポリスを、やがて間違いなく来るであろう首都直下型地震からいかに守るのかという国家的命題があります。
まず、東京圏に集積しすぎた人口を地方に分散することが求められます。 東京圏3500万人人口をいかにして地方に分散させるのかは、むしろ東京圏に住む住民の防災安全保障につながるのです。だからこその地方創生なのであり、それは必ず東京圏に住む人たちのメリットになります。
「川崎市にもっと人口を~」といっている市政関係者が、いかにピントずれをしているのかがわかります。
あるいは、必ずや被災するであろう国家の中枢機能を早急に回復できるバックアップ都市を地方に分散しておくことも重要です。
当然、東京圏の公共インフラの再構築も必要です。とりわけ首都圏は、前回の東京オリンピック時につくられたインフラがほとんどです。それらのインフラが悉く更新時期を迎えているのです。
世界が今、この東京圏というメガロポリスが巨大地震にどのように対応するのかに注目していることを日本国民は知るべきです。
加えて、人口が増えているといっても、いよいよ川崎市においても生産年齢人口(15~64歳)が減少しはじめました。
そこで「働き手が減っちゃうから、川崎市は衰退しちゃう~」と言っている人は資本主義の意味を理解していない人です。そもそも、人口が増えないと経済が成長しない、という発想は産業革命以前の発想ですから。
人口減少を投資拡大による生産性の向上で克服することが、資本主義の王道です。
またそのことは、日本が、そして川崎が・・・再び高度経済成長するビックチャンスなのです。