この国を悪くしているものの一つに経済財政諮問会議なる総理の諮問機関があります。
総理の諮問に応じて、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する調査や審査を行っています。
竹中・小泉以来、我が国の国民経済を壊し、新古典派経済学に基づく構造改革を推し進める総本山になっています。
会議の顔ぶれをみればその目的は明らかですが、昨日の会議においても、相も変わらずの提言に終始しています。
『デフレ脱却へ政府・日銀で連携…経財諮問会議
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160808-OYT1T50218.html?from=ycont_top_txt
政府は8日の経済財政諮問会議で、日本銀行の金融政策などに関する集中審議を行った。政府はデフレ脱却に向け、日銀が今後も強力な金融緩和を続けるように期待しており、会議に出席した日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁も政府との連携を重視する考えを示し、歩調を合わせた。(後略)』
デフレ脱却にむけ日銀に更なる金融緩和を求めるのはいいですが、既に黒田日銀はかつてないほどに充分なる量的緩和を進めてきました。今やマネタリーベース(日銀発行の紙幣と政府発行の硬貨の合計)は400兆円に達する勢いです。足りないのはそれを借りて使う政府の財政政策です。政府が頑なに国債発行を抑止してきたために、日銀が更なる量的緩和(国債購入)をしようにも、市場には買う国債が枯渇しているのです。
黒田総裁にしてみれば、
「経済財政諮問会議に言われなくても、もう散々やってるよぅ!」
とでも言いたいところでしょうが、文句一つ言わず経済財政諮問会議に歩調を合わせているあたり実に我慢強い人です。
『7月の日銀決定会合、緩和の限界巡り対立
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05839590Y6A800C1EE8000/
日銀は8日、追加緩和に踏み切った7月28~29日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。金融緩和の限界を巡る意見の対立が改めて明らかになった。9月20~21日に開く次回会合で予定する、金融緩和についての「総括的な検証」の行方は見えにくい。(後略)』
8月2日に発表された経済対策によって政府はようやく建設国債を発行するようですが、国と地方を合わせて7.5兆円程度の財政出動ですので、政府が発行する建設国債は規模としては僅かに過ぎません。毎年80兆円のペースで国債の買い入れを行っている日銀にしてみれば、そんなんじゃ足りないよぅ、と言いたいところでしょう。
28兆円の経済対策の大部分は、融資枠の拡大など、民間投資を促すことを目的としています。
デフレ脱却への脱出速度が不充分なまま、投資先のない民間企業がホントにおカネを借りて投資しようとするのでしょうか。
上のグラフのとおり、現在、企業の内部留保(民間非金融法人企業が保有する現預金)は261兆円を超えています。第二次安倍内閣が発足以降、即ちアベノミクスがはじまって以来、たった3年間で金額にして約53兆円も増えています。
もし、この53兆円が投資(支出面のGDPの一項目)に向かっていれば、それだけで日本のGDPは最低でも10%の成長をした計算になります。
税収弾性値(税収増加率÷GDP成長率)は3~4と言われていますので、税収は30~40%増えたことになります。
そのチャンスを壊し続ける経済財政諮問会議。
まるで大東亜戦争時の参謀本部及び軍令部と似ています。