自民党税調が所得税の配偶者控除の見直しを検討されているようです。
『配偶者控除の見直し検討表明 自民税調会長
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS30H4X_Q6A830C1PP8000/
自民党の宮沢洋一税調会長は30日、2017年度の税制改正で議論する所得税の配偶者控除の見直しについて「一つの柱になることは確かだ」と述べた。そのうえで「女性で働く意欲がある人には働いていただきたい。働き方に中立な税制という観点での議論をしたい」と話し、専業主婦世帯を優遇する現行制度の見直しの必要性を強調した。(後略)』
所得税の配偶者控除とは、夫もしくは妻の年収が103万円以下の場合、所得税額の基礎となる世帯主の所得を計算するときに受け取る給与から38万円を差し引くことができる制度です。
これを安倍総理は「女性の就労拡大を抑制している」制度としてきました。
しかし、「働く女性のため・・・」という総理の理屈は、どうやら後付けのようです。
真の目的は、この制度(控除)によって入ってこない6,000億円の税収を確保することのようです。要するに財務省の緊縮財政策の一環です。
私は、働く女性を支援し女性の就労機会の拡大を図っていくことに賛成です。その一方、専業主婦として活躍したいという女性の生き方もまた立派な価値観として認めるべきだと思っています。一歩間違うと、現在進められている「配偶者控除の廃止」は、家庭に入って主婦として活躍したいという女性にとっては罰則(実質的な増税)になりますね。
働く女性を所得面において苦しめているのは、主として長引くデフレとグローバリズム(新自由主義)に基づく賃金の抑制ではないでしょうか。
デフレの長期化も、グローバリズム経済の蔓延も、その責任はまさに政府(政治)にあります。その改善努力を怠りながら、財務省の言いなりになって実質的な増税により財政均衡を図ろうとするのはいかがなものか。
なんと政府内には、国内企業の内部留保に課税しようとする動きもあるようです。
上のグラフのとおり、国内企業の内部留保は増えています。実はこれも安倍政権の「デフレ期の緊縮財政」という失政の結果です。安倍政権の緊縮財政がデフレという需要不足(投資対象の不足)を長期化させ、その結果として企業投資が抑制され内部留保が増えたのです。加えて2014年4月の消費税増税(5%→8%)もそれに拍車をかけました。
要するに自分たちの失政の結果として蓄積された内部留保なのに、そこに課税して財政均衡を保とうとするのはいかがなものか。これも財務省の差し金か。
そもそも我が国は共産主義国家ではないのだから、これ以上の資産課税はやめてほしい。資産課税は私有財産権の侵害だ。