『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第18回
昨日(1月4日)の安倍総理の年頭記者会見を聞いていて、総理の次の言葉に驚かされました。
『私たちも、この3年間「経済最優先」で取り組んできました。まだまだ道半ばではありますが、「もはやデフレではない」という状況を創り出すことができました。』
はぁ~???
どうみても日本は未だデフレの直中です。これは実感として感じている、とかいう次元ではありません。とりあえず、以下、数字で明らかにしたいと思います。
まず、経済成長率(実質GDP)の推移です。
昨年の7-9期はかろうじてプラス0.3(確定値ではありません)にしましたが、危うくマイナスになる寸前でした。もしこの期がマイナスであった場合、消費増税を行った一昨年(2014年)の2期連続(4-6期、7-9期)マイナスにつづき、昨年もまた2期連続でマイナスに陥るところでした。
2期連続でマイナス成長することを「リセッション」と呼ぶらしいのですが、安倍内閣は2期連続どころか、「2年連続」で日本経済をリセッションに叩き込んだ史上初の内閣になるところだったのです。
下のグラフは先日も掲載しましたが、実質賃金指数の推移です。実質賃金指数とは世の物価変動分を除いて実質的なお給料が増えているのか減っているのかを示す指数です。2010年の平均値を100としています。
安倍内閣は発足以来、なんと実質賃金を5ポイントも下げています。デフレの恐ろしさは物価が下落することだけではなく、所得が減少することです。所得が減少するために消費が増えず。消費が増えないために物価が上がらない。物価が上がらないために所得が減る。というスパイラルです。
下のグラフは実質消費支出の推移です。これも物価変動分を差し引いて2人以上の世帯が1世帯あたり1か月間にどれだけ消費支出したのかを示すものです。
安倍内閣発足以降の増減率の平均値はマイナス1.2です。
安倍総理の言葉のごとく、本当にデフレが解消されつつあるのであれば、銀行の企業への貸し出しが増えなければなりません。ところが銀行の貸し出しは一向に増えず、緩和マネーは日銀当座預金に蓄積されているだけのようです。
長期金利の指標となる10年物国債の金利をみると、下のグラフのとおりです。
企業は銀行からおカネを借りるどころか、第二次安倍内閣発足以来、その内部留保が50兆円以上も増えています。企業の設備投資が拡大していない証拠です。
それはなぜでしょう。
デフレ・・・だからです。
民主党をはじめ、野党の国会議員の皆さん。お餅つきやお祭りなどの地域行事に小まめに顔をだすのも結構ですが、ぜひ、国民のために通常国会で追及してください。