『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第2回
11月13日のパリ銃撃戦の後、フランスのオランド大統領はベルサイユの議場で上下両院合同議会を開き、「フランスは戦争状態にある」ことを宣言しました。
つまり平成20(2008)年の憲法改正で認められた大統領権限を行使するというものです。このことはアメリカ東部標準時間の昭和16(1941)年12月8日、ルーズベルト大統領がアメリカ上下両院議員の前で行った事実上の対日宣戦布告演説を思わせます。
ロシアはシナイ半島上空でのロシア旅客機墜落をテロと断定し、世界のどこに居ようとも犯人を捜し出して罰すると宣言しました。
ロシア艦隊の潜水艦からミサイルが発射され、フランス軍はシリア方面を爆撃する。いわば、対ISの露仏協商です。露仏は公然と中東再分割に乗り出せる、という状況が生まれました。黙っていては置いてけぼりを食うことになるので、やがて米英も本格的に参戦することになるでしょう。即ち、中東事変のはじまりです。
かつて、シナ事変は誰が敵なのかよくわかりませんでした。一応、蒋介石が敵ということでしたが、では蒋介石を倒した後、どうなるのか、どうしたいのか、どうするのか、当時の日本に明確な構想があったとは考えられません。
中東事変も、ISという一応の支配地域をもち、国旗をもち通貨をも発行している存在が敵ですが、政府らしきものがあるのか、統治機構がどうなっているのか、判然としません。これはシナの軍閥によく似ています。日本のマスメディアはイスラム国という不見識な呼称をやめませんが、本来「偽カリフ匪賊」とでも呼ぶのが適当でしょう。(メディアには間違った歴史認識しかないので、こういう類推が働きません。) オランド大統領は、ISはいかなる文明も代表していない、と演説しました。これはイスラムを敵とするのではない、との意思表示ですから、ますます偽カリフ匪賊というのが適切です。アル・カーイダも匪賊です。