『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第10回
グローバリズムいう帝国主義は、途上国や未開発地の人民から搾取するだけではありません。いわゆる先進諸国の国民からも容赦なく搾取します。さぁ、どうやって…?
グローバリズムの受益者は、主としてグローバル投資家とグローバル企業家です。
彼らは株主資本利益率を確保するため、経営陣に対して四半期スパンの短期利益と高配当、それを実現するための労働分配率の引き下げを求め、政府には国家・社会を維持するための公益支出である税負担の極小化、社会の公正を維持するために必要な規制までも撤廃して社会的責任から免除されることを求めます。
下の図は、日本企業の配当金と労働分配率の推移です。
赤い折れ線グラフは労働分配率の推移で右肩下がり、青い棒グラフは配当金の推移で右肩上がりです。これをみると一目瞭然です。
わが国は1998年以降の橋本緊縮財政によってデフレ(需要不足)に突入しました。突入したまま、未だ出口は見えませんが、その背景にはグローバリズムがあったわけです。結果、日本の実質賃金と実質消費が低迷していることは周知の事実です。また、デフレ経済はグローバリストにとって極めて収益を上げやすい環境下でもあるということです。
それはなぜかというと…
デフレ(需要不足)の長期化→名目GDPの縮小→税収減→小さな政府をめざす構造改革→公営サービスの民営化や規制緩和→グローバル企業による公営サービスへの参入や邦人企業の買収→グローバル株主による利益の最大化→国内経済の供給能力が拡大→余計にモノやサービスが余って需要不足に拍車→デフレ(需要不足)の長期化
…というグローバリストにとって好都合なサイクルを維持することができるからです。