『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第9回
EUをみてもわかるように、危機に瀕したギリシャやポルトガル(いわゆるPIIGSといわれる国々)に対して、トロイカ(国際通貨基金、欧州中央銀行、欧州委員会)は構造改革と緊縮財政を強要しています。
トロイカのイデオロギーによれば、ギリシャやポルトガルで雇用が増えないのは①賃金が高いから、②労働者が解雇されないように守られすぎているから、ということになるわけです。それこそがまさにグローバリズムの論理です。
その結果、例えばポルトガルでは、従業員を容易に解雇できるようになって、賃金は20%ダウンしました。そのうえ労使間で結ばれていた協定も破棄されてしまい、今では、労使間の協定の下で働いている労働者はわずか6%しかいません。それでいて雇用は拡大していないといいます。ゆえにデフレが解消されず、国家財政も改善されない。
日本で最低賃金が最も低い県は沖縄県(677円)ですが、ギリシャやポルトガルの最低賃金は今やそれを大きく下回っています。それは当然、グローバル投資家の利益となりますのでトロイカはそれを是とし、アメリカはこの低賃金競争を「底辺への競争」といって喜んでいるありさまです。