本日の日本経済新聞(電子版)に目を疑うような記事が載っていました。
『外国人労働者、陰る日本の魅力 韓国・台湾と争奪
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04967950X10C16A7NN1000/
外国人労働者の「日本離れ」が静かに進んでいる。韓国や台湾などが受け入れを進め、獲得競争が激しくなっているためだ。日本で働く魅力だった給与などの待遇面も、差は急速に縮まる。日本の外国人労働者は今年中に100万人の大台を突破する見通しだが、今後、より一層の受け入れ拡大にカジを切っても外国人が来てくれない懸念が強まってきた。(後略)』
外国人労働者が来てくれないことが、なぜそんなに深刻なことなのでしょうか?
私には全く理解不能です。
外国人労働者の受け入れは、グローバル投資家やグローバル企業にとって人件費を安く抑えられるのがメリットです。というか、彼らが外国人労働者の受け入れを是とする理由はただそれだけです。
しかしその代償は、その国のネイティブ国民に襲い掛かります。
例えば現在の日本でも、安い人件費でチェーン展開する企業が全国的に跋扈していますが、そこで働く人々の賃金は一向に上がっていません。
現在、我が国では外国人移民を受け入れていませんが、既にそうした職場では外国人留学生などが実質的にアルバイトをしています。あるいは職種によっては外国人技能実習制度などを活用して、実質的に人件費を安く抑えている企業さえあります。
このように外国から安い労働力が流入して来れば、それに合わせてネイティブ日本国民も安い賃金で働かざるをえなくなります。
下のグラフをご覧ください。
数字は2012年までのものですが、2004年に東欧諸国がEUに加盟して以降、英国にはポーランドやルーマニアなどからの外国移民が流入しはじめました。日本の人口は約1億3000万人、英国のそれは約6500万人です。人口比で比較すると、英国への外国人労働者の流入がいかに凄まじかったのかがわかります。
昨日のブログでもお伝えしましたとおり、英国では2008年以降のデフレ経済も重なってネイティブ英国人労働者の実質賃金がなんと8%も下落しました。最低賃金は日本円にして400円以下にまでなった模様です。ブレグジット(英国のEU離脱)問題が深刻化した理由はこの一点にあったといっても過言ではないように思えます。
因みにグラフには韓国の数字も入れておきましたが、韓国の人口は約5000万人です。日本との人口比からみても韓国への外国人労働者の流入数も凄まじいことがわかります。
今や韓国はグローバリズムの植民地とさえ言われるほどに、国民をできるだけ安い賃金で働かせグローバルな価格競争力を高めるという成長モデルを採用してきました。国内での格差が拡大したほうが韓国経済にとっては望ましいという悲惨な植民地状態です。
結果、韓国の若年失業率は12.5%にまで及んでいます。「若年」の定義は国際的には15~24歳なのですが、なぜか韓国は15~29歳にしています。少しでも数字を低くみせたいということだと思いますが、それでも12.5%です。因みに日本の定義は国際基準の15~24歳で、その失業率は5%程度です。
今後、我が国は生産年齢(15~64歳)人口比率が低下します。近い将来、黙っていても完全雇用状態になります。即ち人手不足です。そこで労働力不足を外国移民や外国人労働者で賄おうとすると韓国と同じようにグローバリズムの植民地と化します。
この労働力不足を外国人労働者の受け入れではなく、生産性の向上によって克服する道こそが我が国の進むべき発展の道です。
にもかかわらず、日本経済新聞社は「外国人が来てくれない~」と言っています。この新聞社はグローバリズムの御用新聞でもあるので仕方のないことなのですが、一方その根底には、日本は外国人労働者を受け入れないとやっていけない、という自虐思想があるのだと思います。
確かこの新聞社、歴史観も東京裁判史観でしたね。
自虐史観も自虐思想も、日本を蝕みます。