7月29日に開かれた日銀の金融政策決定会合によれば、上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年6兆円に倍増する追加緩和が決められたようです。記者会見で総裁は、政府が8月2日に決定する経済対策と追加緩和が両輪となって「相乗的な効果を発揮する」とのこと。
別にETFを購入することに異を唱えるつもりはありませんが、民間金融機関の保有する国債が枯渇しているものだから、日銀が民間金融機関から購入する金融商品がETFぐらいしかないのでしょう。
2016年4月末時点で、民間金融機関が保有する国債(財投債、国庫短期証券)残高は240兆円程度です。日銀が引き続き年間80兆円のペースで購入していくと、まちがいなく1~2年以内に量的緩和終了となります。
それに、他に安全な運用先のない民間金融機関も困り果てることになります。
新たな経済対策でどの程度の建設国債が発行されるのかわかりませんが、7~8兆円程度の発行に留まると焼石に水です。
そこで、一案です。
どうせ購入するなら各地方自治体が発行している地方債を購入したらどうか。
政府の頑ななまでの緊縮財政がデフレの深刻化を招いてきた一方、各地方自治体も総務省のお達しに従ってプライマリー・バランス重視の家計簿ポリティクスを断行しているため、地方行政全体が引き締め政策をとっています。そのことがまた、デフレに拍車をかけています。
例えば川崎市。
上のグラフは、川崎市の土木費の推移です。
土木費とは、橋梁、道路、公園、街路、住宅、市街地再開発、区画整理事業などの整備にかかわる費用です。総予算に占める割合は右肩下がりに低下しています。
その被害者は川崎市民です。ご承知のとおり、我が国は世界きっての自然災害大国です。まちがいなく来るであろう首都直下型地震を前に、このような土木(安全保障)無視の予算執行でいいのでしょうか。
川崎市の公的固定資本形成(用地買収費等を除いた公共投資費)は横ばいです。これらは公的インフラ等に代表される償却資産ですので、横ばいで推移するということは国民市民を守るための公的インフラが脆弱化していることを意味します。
日銀が地方債を購入することで各地方自治体のインフラ投資を後押しすれば、
①量的緩和政策の補完
②デフレからの脱却
③防災対策の強化
④生産年齢人口比率の低下を解消するための生産性の向上
⑤地方創生
・・・の五つの問題を同時に解決できます。
むろん、もし日銀が各地方債を引き受ける際には、なぜその自治体の地方債を優先的に購入しなければならないのか等の政治的な説明責任が求められます。
それは政治家の役目です。
因みに、不肖・私めなら自信をもって説明致します。