「デフレ期の緊縮財政は、デフレを深刻化するだけ」ということを、川崎市議会で繰り返し述べてきました。
国民経済では、経済主体は概ね4つに分類されます。
1.政府
2.企業
3.家計
4.海外
このうち内需となるのが、1.政府、2.企業、3.家計です。
例えばデフレで需要が増えない以上、企業が投資を飛躍的に増やすことはありません。また実質賃金が下落する以上、家計は財布の紐を締めざるをえません。
企業や家計のこうした判断は極めて合理的なものです。
しかし企業や家計に加え、政府までもが緊縮財政を行ってしまうとデフレを解消することはできません。これを「合成の誤謬」といいます。合成の誤謬とは、各々が正しいことをしているのに全体としては悪い結果に至ってしまう状態のことです。
であるからこそ政府という、通貨発行権をもつ唯一の経済主体こそが財政出動することが求められます。デフレを脱却して経済成長することができれば税収が増え、政府負債の対GDP比率は低下していきます。これを財政再建といいます。
ご承知のとおり、これまで政府も地方行政もひたすらに緊縮財政を行ってきました。「ひたすらに・・・」というより「頑なに・・・」といったほうが適切でしょうか。
ところが、総理の好きなアメリカ様から二人の経済学者がやってきて、財政出動の必要性を日本政府に助言したことにより、徐々に総理の方針が変わりだしたように見受けられます。
『5月のG7首脳会議、世界経済の低迷などが焦点に=議長国の日本
http://jp.reuters.com/article/japan-usa-g-idJPKCN0WX32I
日本政府は31日、議長国を務める5月の主要7カ国(G7)首脳会議では、低迷する世界経済を下支えするために措置を講じる準備があるとの明確なシグナルを送るべきとの考えを示した。(後略)』
上記ロイターの記事にある「世界経済を下支えするために措置を講じる」の措置とは、おそらく消費税の再増税延期を含めた財政出動のことかと拝察します。
もしそうだとすれば、あとは財政出動の規模と時期と対象が課題となります。
間違っても選挙目当てで、低額所得者への所得移転だけとかはやめてもらいたいものです。また、経済同友会の代表幹事が財政出動の財源として消費増税を行うべき、などと頓珍漢なことを言っているようですが、それでは冷房と暖房を同時につけるようなものです。
その前に、2014年4月の消費再増税が失敗したことの責任はいったい誰がとるのでしょうか?
再増税を決断した政治家、再増税を提言した学者や官僚や財界、またその必要性を煽ったマスコミや言論人。それぞれに責任をとってもらいたいものです。責任をとらない卑怯者を野放しにしておくと、組織や社会は淀んでいきます。
それらを追求することが野党の国会議員の皆さんの仕事の一つだと思います。