昨日に引き続き、プレミアム商品券事業の経済効果についてです。
ここでいう経済効果とは、この事業によりGDPをいくら押し上げたのか、です。なぜなら「豊かになる」の定義はGDPが増えることだからです。もっと厳密にいうと、モノやサービスを生産する人々の一人あたりの実質GDPが増えることです。GDP=生産=所得です。
昨年(平成27年9月1日~12月31日)に実施されたプレミアム商品券の川崎市における業種別利用状況をみると次のとおりです。(川崎市経済労働局の調査結果)
街のお肉屋さんやお魚屋さんなど、商店街(商店主)の皆様の中には、このプレミアム商品券事業に大いなる期待を寄せていらした方々がおられましたので、検証してみます。
調査によると、街の商店街にある「お肉屋さん」や「お魚屋さん」や「お豆腐屋さん」は「その他」(14.9%)に分類されています。因みに、コンビニエンスストアは「スーパー」に分類されます。
当該事業の利用実績に基づき、「その他」の14.9%を金額に換算すると約4億9千万円になります。これを4ヵ月で割ると、一月あたり約1億2千300万円です。更に日割りすると、一日あたり約410万円となります。
川崎じゅうの小売商店が何件あるのか正確にはわかりませんが、それで410万円を割ると、一店舗あたりいくらになるのでしょうか。
一方、昨日のブログでは川崎市における消費者物価指数の総合でみましたが、本日は下のグラフの通り「食料」の消費者物価指数(前月比)の推移をみてみます。
生活必需品の中でも最も生活必需品である「食料」の消費者物価指数(インフレ率)だけをみても、事業期間中の増減率はマイナス幅のほうが大きくなっています。
昨年9月の数字をみると、前月よりも1.1%上昇していますので、プレミアム商品券事業の効果とみることができます。しかしその後、反動で10月、11月と二ヶ月連続で下落しています。
くどいようですが、消費者物価指数(インフレ率)が上がらない、ということはモノやサービスが買われていない、ということです。
詰まるところ、あまりにもデフレ経済が深刻化しているために、プレミアム商品券事業程度の対策では“焼け石に水”のような結果しかもたらされないということです。
近年、どこの自治体でも「地方分権」や「地方の自主性」を標榜しています。この川崎市もしかりです。真に地方分権を叫ぶのであれば、こうした地域経済の実態を把握したうえで、政府に対してデフレ克服のための正しい経済対策を提言・要望していくべきではないでしょうか。