川崎市の市内総生産(GDP)は約5兆円、人口は約147.7万人です。ちょうど日本のGDPの1%、人口の1.2%くらいの規模の都市となっています。
実は、日本の国税収入が名目GDPと相関するように、川崎市の市税収入も市内GDPと相関しています。
日本の名目GDPと税収の推移は以下のとおり・・・
つづいて、川崎市のGDPと税収の推移は以下のとおり・・・
さらに興味深いのは、川崎市のGDPが日本の輸出額(名目)に相関するという点です。
日本の輸出額と川崎市のGDPの相関係数は、なんと「0.91」です。統計学上、0.7以上は「ほぼ相関する」といえる数値とのことです。
この理由はおそらく、市内企業の最終消費財取引が多いことが考えられます。ただ、相関関係はあくまでも因果関係の必要条件であり絶対条件ではありませんので、絶対的な因果関係があるとは断言いたしません。
とはいえ、結果として相関する以上、日本の輸出額の推移や、その見通しを推測することは本市の財政運営上、大いに有益です。
例えば、日本のGDPに占める輸出額の比率は約15%程度。うち、対米輸出は約21%です。即ち、GDPの約2~3%を占めています。金額にすれば10兆~15兆円の規模ですので、GDP1兆円の川崎市への影響も大きいものがあります。
即ちアメリカの景気動向は意外にも川崎にとって連関が深いのです。
現に、上の『市税収入と市内総生産(名目)』のグラフをみてもわかるように、リーマンショック前の住宅バブルで日本の輸出額が増えた際には川崎の税収は増えています。その後(リーマンショック後)で市内GDPも税収も足並みをそろえて落ち込みました。
そこで今後の動向ですが・・・
下のグラフをご覧ください。
アメリカ経済の成長率の推移をみると、約7~10年のスパンでリセッション(景気後退)に突入しています。
今年はリーマンショックから、ちょうど7年目です。早くて今年、遅くとも来年か再来年あたりにはリセッションに入る可能性が高くなっています。
昨年の暮れ、FRB(アメリカの中央銀行)は利上げしました。そして更なる利上げのタイミングを探っています。その理由は、アメリカ経済が次のリセッションに入ったとき、「金利引き下げ」というオペレーションの余地を残しておきたいからでしょう。
上のグラフのとおり、リーマンショックの際、日本の輸出額は27兆円減少しました。
このとき、川崎市もそのピーク時から約118億円の市税収入が減りました。
今後、どのような経緯でアメリカが次なるリセッションに突入するのかはわかりませんが、それが市税収入に大きな影響を与えることだけは確かです。
その時、どの程度の税収減を想定しているのか、またその対策はできているのか?
等々・・・先日(水曜日)の川崎市議会で質問させて頂きました。
このように、一地方自治体の財政運営でさえも、すでに国際的連関に組み込まれているご時世なのです。