昨日、都心部では各鉄道会社が運転本数を減らす、いわゆる間引き運転により多くの通勤者の足に影響がでました。
『雪で「間引き運転」、朝の混乱に拍車 首都圏の各鉄道
http://www.asahi.com/articles/ASJ1L56V3J1LUTIL04G.html
首都圏の各鉄道は18日、積雪で朝のラッシュ時のダイヤが大幅に乱れた。乗客が列車に乗りきれず、駅の入場規制が相次いだ。雪への備えや雪の影響で運転本数を減らす「間引き運転」が混乱に拍車をかけた。(後略)』
例えば、東急電鉄は各線で特急や急行を取りやめて各駅停車に絞り、運転本数を通常の約6割にしたようです。そのため、多くの駅で入場規制がかけられ、寒い中にもかかわらず行列をつくって駅入りを待つに至った方も多かったようです。
間引き運転を行う理由は、雪による影響で列車のブレーキ等が効かなくなる可能性があり、衝突を避けるために列車と列車の間隔を空けなければならないとのことです。現に東急電鉄ではそうした事故が既に発生しています。
ただ、専門家によると、相応の対策を事前に講じることによって間引き運転をする必要はなくなるとのことです。鉄道会社としては、年に一度か二度程度の雪のために、そうした経営負担となる投資をする余裕はないのだろう、とのことでした。
鉄道会社の採算が合わないのであれば、それこそ国や自治体が税金を投入してでも鉄道の積雪対策投資を行うべきではないでしょうか。
昨日の降雪量程度で交通機能が麻痺してしまうようでは先進国としてなさけない話です。
いわでもがな、鉄道は主要な交通インフラの一つです。そして日本は世界屈指の自然災害大国なのですから、防災投資の一環として税金(建設国債)を投入する根拠として十分だと思います。
不思議なことに、我が国では「道路は税負担」、「鉄道は事業収益負担」という妙な原則があります。
例えば、東京~名古屋を結ぶリニア新幹線もJRの負担で行われ、税金は投入されません。その負担はすべて事業収益で回収しなさい、ということです。むろん、ランニングコストについては事業収益で賄ってもらうようにしなければなりませんが、国家プロジェクトともいうべき東海道リニアですので、せめて初期コストくらいは国家予算を投じてもいいはずです。最もそれは、当のJRが嫌がっているという話もあります。もし税金を投入されると、我田引水の政治家たちが必ず蔓延り「必ずこのルートを通れ」とか「俺の選挙区のどこそこに駅をもってこい」とか口出ししてくる輩が現れるので、そうした面倒な政治問題を抱えないためにもJRの負担だけでやりたいようです。
ですので、政治家に口を挟ませないという法律を制定のうえ、国家予算を投入してでも早期に東京~大阪間を繋いでほしいものです。
今日、私は仕事で金沢に向かっています。その後、金沢から京都に向かう予定だったのですが、金沢から京都に向かうサンダーバードが雪の影響で運行停止となってしまいました。よって、いったん金沢から東京に戻り、東海道新幹線で京都に入らなければなりません。
雪に強い新幹線網が全国に敷かれていたのなら、このようなことにはならなかったわけです。
内閣官房参与としてご活躍されている藤井聡・京都大学教授によれば、全国の新幹線整備を実現するのに必要な予算は5~6兆円程度ということです。現在のデフレギャップ(国の少なめの試算でも10兆弱)と、これによるストック効果を考えたら、直ぐにでも具現化すべき経済事業であると思うのですが、例によって「国の借金がぁ~」というオタンコナスが常にボトルネックとなる今日このごろの我が国です。
重ねて申し上げますが、我が国のインフラ整備度は、先進諸国の中でも決して高いわけではありません。生産年齢人口が減少する、という状況であるからこそ、今の日本には投資が必要です。ただ、ここでいうところの投資には株式投資などの金融商品への投資は含みません。