いよいよ本日(1月29日)は、麻生財務大臣が期待している日銀の金融政策決定会合の日です。
『日銀の悩みの種、それはアベノミクス
http://jp.wsj.com/articles/SB12567208692695734474604581505670773464238?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst
投資家は日本銀行について間違った問いを投げかけている。黒田東彦総裁が今年追加緩和するかどうかではなく、それが役に立つかどうかという問いだ。黒田総裁が早ければ29日にも追加緩和に踏み切る理由は多い。しつこいデフレ、取るに足らない世界の成長、株式投資家の不安、なだめる必要のある政治家の焦燥感などだ。(後略)』
ご承知のとおり、日銀の役割は「物価と金融システムの安定」にあります。
その日銀に、麻生財務大臣は「物価上昇率の引き上げ」を期待しているわけですが、デフレとは需要不足による物価の下落と所得の縮小現象ですので、金融を緩和しておカネの量(マネタリーベース)を増やすだけでは物価は上昇しません。
なぜなら、量的緩和で日銀が購入する国債は需要項目となるモノやサービスではないからです。
上記のウォール・ストリート・ジャーナルの見出し「日銀の悩みの種、それはアベノミクス」は、言いえて妙です。
下のグラフは、国内銀行の貸出金利の推移です。貸出金利には、新規とストックの2種類があります。ここでは新規の計表でみています。
平成24(2012)年の12月に安倍内閣が発足し、翌年からアベノミクスがはじまりました。その後、少なくとも昨年の9月に至るまで国内銀行の貸出金利が下がり続けていることがグラフをみてもわかります。
このブログをご高覧頂いている方にとっては耳にタコ状態かもしれませんが・・・金利の低下は、貸出が増えないためにおカネが銀行にジャブついてしまっていることを物語っています。
貸出が増えない主因は、デフレでモノやサービスが売れないためです。
例えば、商品を生産しても売れない状況で、わざわざ銀行からおカネを借りて設備投資をしよう、という経営者などいません。
統計上、①企業、②家計、③政府、④海外という4つの経済主体がありますが、上記の理由で企業は内部留保を増やしており、将来不安をもつ家計も支出を抑えて貯蓄を増やしています。海外はスロートレード時代に入って貿易量の増えない情勢にあります。残る経済主体は政府です。ところが、その政府も緊縮財政主義で財政出動していません。川崎市もそうですが、各地方自治体までもが全国的に緊縮財政を貫いていますので、そのことがまたデフレ圧力を強めています。
そもそもアベノミクス第2の矢は財政出動だったはずなのですが、この矢がことのほか針のように細く小さなものでしたので驚きました。
くどいようですが・・・貸出金利の低迷は、財政出動による需要創造が必要である、という叫びです。
ウォール・ストリート・ジャーナルは「追加緩和が役にたつかどうかの問いかけ」が必要だと言っていますが、追加緩和だけでは目的(デフレ脱却)を達成できない、ということだと思います。
先日来、このブログでも再三指摘しておりますとおりの理由で、今回の政策決定会合において量的緩和(更なる国債購入)という形での追加緩和は見送られる公算が大きいかと思われます。
本日、黒田総裁の定例記者会見が行われますが、金融政策決定会合の議事要旨発表は3月18日になります。