本日、川崎市議会の環境委員会で、『上下水道分野における国際展開の実施方針』が示された。
我が日本の水処理技術の水準は世界一と言っていい。しかし、個々の技術がいかに優れていても、全体的なシステムとして運営し、あるいはパッケージとして外国で経営・運営するノウハウがなければ、これらを輸出することはできない。
例えば、ポンプや浄水機器、あるいは海水を淡水化する逆浸透膜技術など、日本にはさまざまな一流の製品・メーカーがあるのだが、国際水ビジネスはこれらの企業ではなく、いわゆる水メジャーと言われるフランスのヴェオリアやスエズ、あるいはイギリスのテムズなどが席巻している。優れた技術を持つ日本の企業は、パッケージとして水道事業全体を経営できるそれら海外企業の部品供給業者で終わってしまっているのが実状だ。どんなに個々の技術が高くても、例えば水源から蛇口までを維持管理するシステムを押さえなければ、日本企業が世界の水ビジネスで主導権を握ることはできないのである。
こうした上下水道事業をパッケージとして運営管理する技術は、日本においては各自治体が持っている。むろん、川崎市も然り。こうしたパッケージとしてのシステム管理や技術を世界に向けてビジネス的に展開していくことが、本市のみならず日本国にとっての大きな国益となる。このことは、これまでの議会でも声を大にして主張してきた。
あるいは世界では、安全な水を利用できない人々は約8.8億人もいるし、下水道等の衛生施設を利用できない人々については約26億人もいる。しかも水道水を飲むことができる国はわずか11ヶ国しかなく、発展途上国に至っては水道そのものがない。発展上国の病の4割は水が原因であるとも言われているので、日本の上下水道技術が世界に普及することは日本だけでなく世界の利益にもつながる。
従って、今回示されたような川崎市の「上下水道分野における国際展開への取り組み」は評価に値する。
ただ、中身をみていくと課題や問題点もある。例えば、特許技術などの日本の知的所有権はしっかり守られるのか。あるいは川崎市の基本的目標は「世界の水環境への貢献だ」とのことだが、それだけでは困る。国際ビジネスは覇権争いであるのだから、いかにビジネス覇権を獲得していくか、という明確な意志も求められる。
特に不安を感ずるのは、ビジネス対象国にシナが入っていることだ。この国は国際的な約束を平然と反故にするし、知的所有権もへったくれもない。日本の優れた技術と知的財産をほんとうに守ることができるのか、対象地域の見直しも必要ではないか。