神奈川県内の製造業で航空宇宙産業に参入する動きが広がっています。
航空宇宙産業は、高度な技術力が求められるため製造業にとって参入の敷居が高いと言われていますが、契約期間が数年から数十年までと比較的長いことから安定した受注につながります。また、この分野は先進諸国がしのぎを削っている分野であり、新しい時代を生み出す民生品への技術移転が進みやすく、さまざまな産業分野への普及発展も見込まれます。
特に、航空産業が他の産業へと波及する効果は自動車産業の波及効果の3倍と言われており、なお先端産業を一つでも多く国内に有することは国家の安全保障を強化する観点からも極めて重要です。ここで、この先端産業分野、航空宇宙産業でおくれをとれば先進産業国としての日本の存続も危うくなり、それは大量の雇用喪失、経済力の低下を招き、ひいては福祉をはじめとする社会保障の減退をももたらします。
一方、最先端技術という観点では、防衛産業こそ新時代を開く最重要産業といっても過言ではありません。例えば、今日の生活に広く愛用されているインターネットも、もともとは核戦争に対処する情報網として、つまり軍事用として開発されたのは有名です。
ほかにも、新型ジェット機ボーイング787の主翼部分の複合材は、F2戦闘機の主翼部分の複合材と同じものが使われています。また、戦闘機のチタン素材は医療機器の分野でも広く活用されています。あるいはブレーキを踏まなくても止まる自動車も、その技術は戦闘機のレーダー技術が応用されたものであり、いま流行りの無人掃除ロボットも地雷探知の軍事技術が応用されたものです。
去る3月5日の予算審査特別委員会においても、川崎市における先端産業の市内集積促進の取り組みついて質問しましたが、防衛省の次期主力戦闘機がF35に決まったことにより、国内では多くの中小企業の防衛調達が減少します。
よって今こそ、大手防衛産業などの協賛を得つつ技術力の高い中小企業を市内に誘致し、誘致企業と市内既存企業の技術的連携を深め、例えば、水素発電車や特殊車両や小型ジェット機や福祉機器などの研究開発を進めさせ、とりあえずの需要を創出させるとともに、高い技術力を維持しつつ不況を耐えしのぎ次代の発展につなげていくことが必要であると考えます。