信じがたいことに、我が国には非常事態法制が整備されていない。非常事態法制とは、戦争、テロ、経済封鎖(恐慌)、大規模自然災害など、国家の非常事態に対処するための法制である。現行の国民保護法などはおそらく何の役にも立たないだろう。
これでは、国家の独立と平和と正統、そして国民の生命と財産を将来にわたって保護することができない。国家の非常事態において、各自治体がその責務を果たすためにも、国家における非常事態法制の整備が不可欠である。
非常事態の定義は、平時の制度や法律が機能不全に陥った状態である。平時法制の基本は「権限の列挙」であるのに対し、非常事態法制の基本は「禁止事項の列挙」で、それ以外は臨機応変の措置をとることになる。要は超法規的措置をとるということだ。こうした権限を優れたリーダーに与えておくことこそ、国家国民のための安全保障であり危機管理である。