以下、予算審査特別委員会の議事録要約を紹介します。
三宅隆介
次に、2款2項2目国際交流事業費について、総務局長にお尋ねをさせていただきたいと思っております。本市における国際交流の当初の考え方は、まず海外都市との交流は行政が主導して、都市間の交流ルートを確立してから、市民・民間レベルの交流へとすそ野を広げるというものでありましたが、近年の傾向としては、市民同士の交流をきっかけとして海外の友好都市提携が行われるなど、行政主体から市民主体へと、そのスタンスが移動しているようであります。
一方、国際交流は、出ていく交流と受け入れる交流とに大別されるものと考えられますが、全国的な傾向として、これまでは出ていく交流が我が国の国際交流の実態であったとも考えております。そういう意味では、これまでは国際交流ではなく、国際直流であったのではないかと思っておるわけでありますけれども、本市のこれまでの国際交流事業はどうであったのか。また、平成16年度予算における派遣と受け入れの比率について、さらには本市市民1人当たりの国際交流事業費をお示しいただきたいと思います。
総務局長(砂田慎治)
国際交流についての御質問でございますが、御指摘もございましたとおり、本市におきましても、これまでの国際交流は、行政相互の交流を通じて友好を深めるという傾向がございました。しかしながら、近年、市内在住の外国人市民の増加に伴いまして、地域における国際交流が活発になる一方、市民の方みずからが積極的に海外に出かけて交流を行うということも非常に多くなってまいりました。こうした流れの中、行政間の交流につきましては、御指摘がございました、出ていく交流は、具体的な目標が明確な場合などに限定されてまいりまして、外国からの受け入れの比重が非常に高くなってきております。そのため、平成16年度の予算では、国際交流事業費のうち約9割が外国からの受け入れ事業という実態になっております。
なお、市民レベルの自主交流を一層推進するため、昨年の8月、かわさき国際友好使節、略称K.I.F.A.と呼んでおりますが、K.I.F.A.の制度を創設いたしまして、これまでに5つの市民団体の方々が海外の都市と友好親善を深め、本市のPRをしていただいてきたところでございます。これからも、世界に開かれた国際都市川崎を目指しまして、地域の主役である市民の皆様を中心とした民間交流団体、市民ボランティア、NGOなどの多様な国際交流を進めるとともに、行政がこれを側面から支援してまいりたいと考えております。
次に、国際交流に係る経費についてでございますが、平成16年度の国際交流事業費のうち、管理運営費を除く、いわゆる国際交流に係る経費は1,653万1,000円で、市民1人当たりに換算いたしますと、約13円となっております。以上でございます。
三宅隆介
国際社会の中における国及び自治体の役割の増大に伴い、経済のみならず、国際会議の開催、スポーツ・文化・教育交流など、市民レベルでの交流の増進の意義は大変重要なものであると考えます。そこで、この国際交流事業による事業効果あるいは市民生活への影響や社会へのメリットについて、御見解があればお尋ねしたいと思います。
総務局長(砂田慎治)
国際交流事業の市民生活への影響といいますか、効果についての御質問でございますが、市民レベルでの交流が非常に盛んになりまして、異なる国、地域、民族あるいは文化や習慣などと触れ合うということは、相互理解を通じて豊かな国際感覚を身につけ、地域社会の国際化、あるいは多文化共生社会の形成に大いに寄与するのではないかと考えております。とりわけ、次代を担う子どもたちが国際交流を通じてお互いの違いを知り、認め合うということができれば、多様な価値観の存在や、ひいてはそれが人権を尊重する精神が養われ、人間形成の上でも大きな力になるのではないかと考えております。以上でございます。
三宅隆介
ありがとうございました。市民1人当たり13円というのが、多いのか、少ないのかというのは、また別の議論ではございますけれども、海外の都市と、市民レベルで友好関係を広げるということは、ある意味でミサイル一本つくるよりもはるかに国家の安全保障につながるものであると考えますし、そして、他国の文化や倫理観を知るという意味でも、また教育上、大きな効果を伴うものであるとも考えております。さらなる国際交流事業の充実を要望して、国際交流関係の質問を終わらせていただきたいと思います。