以下、予算審査特別委員会の議事録要約を紹介します。
三宅隆介
私は、まず道路整備事業について、次いで2款2項2目国際交流事業費について、そして最後に11款9項1目義務教育施設整備費について、それぞれ一問一答形式でお尋ねいたします。 まず、道路整備事業について、建設局長にお尋ねいたします。
道路機能には、まず交通流の円滑化などの空間機能があり、また、都市においては防災・公共公益施設の埋設や日照、緑地などの環境形成といった空間機能等があるわけでございます。さらには、宅地開発や都市開発を促進するなど、土地利用を形成する機能も存在するわけであります。このような道路は人間生活の営みのためのあらゆる施設を生かし、活動を支えており、多くの社会資本の中でも根源的な社会資本であると考えます。しかしながら、本市の道路整備につきましては、とりわけ都市計画道路の整備が大変おくれていると言われております。私の住む多摩区などは、計画を含め、4車線の一般道路は世田谷町田線のみであり、その整備率は極めて低く、大半がいまだ2車線であり、満足に市民生活を支える道路となっていないのが現状であります。歴史的に見れば、本市は南部地区に公害問題を抱え、革新市政の時代が長く続いたこともあり、公害の面がクローズアップされ、道路の持つ重要性が十分認識されず、本来必要である道路投資が少なかったように思います。
そこで、本市の都市計画道路の整備率についてお尋ねいたします。全国政令市における本市の整備率、本市における多摩区の整備率を、それぞれお示しいただきたいと思います。
建設局長(梶川敏雄)
都市計画道路の整備状況についての御質問でございますが、初めに、本市の都市計画道路でございますが、計画延長約307キロメートルのうち、約181キロメートルが完成しておりまして、平成14年度末の整備率は約59%でございます。なお、政令市における本市の整備状況は、13都市のうち10番目でございます。
次に、多摩区内の都市計画道路でございますが、計画延長約41キロメートルのうち、約19キロメートルが完成しておりまして、平成14年度末の整備率は約46%でございます。以上でございます。
三宅隆介
次に、多摩区内では小田急線、南武線の踏切が多くあるわけでございますが、それが交通遮断の直接的な要因となっているわけでございます。区内の踏切の数並びに交通遮断時間についてお答えいただきたいと思います。
建設局長(梶川敏雄)
多摩区内の踏切の箇所数と交通遮断時間についての御質問でございますが、多摩区には、JR南武線23カ所及び小田急線11カ所の合計34カ所の踏切がございます。また、これらの踏切すべて合わせた1日の交通遮断時間は、合計で約233時間でございます。以上でございます。
三宅隆介
それから、一般道路の2車線道路と4車線道路とでは交通処理機能が大きく異なるものと思います。2車線道路が4車線道路になったことによって交通量が倍かというと、恐らくそうではないだろうというふうに考えるわけでございますけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
建設局長(梶川敏雄)
2車線道路と4車線道路の交通処理機能の差異についての御質問でございますが、道路構造の一般的、技術的な基準を規定した道路構造令によりますと、道路の車線数は標準的な道路構造と交通条件を想定して求めた設計基準交通量から定めることとされております。これによりますと、交通条件等により異なりますが、都市部の交差点の多い幹線道路における計算上の1日当たりの交通量は、2車線道路につきましては9,600台、4車線道路の場合につきましては2万8,800台となります。以上でございます。
三宅隆介
ありがとうございました。
次に、都市計画道路の整備に当たって、事業認可の区間はどのような単位でおりるのか、いわゆる取得単位についてお示しいただきたいと思います。
建設局長(梶川敏雄)
都市計画道路の事業認可についての御質問でございますが、都市計画道路事業は、都市計画法の規定に基づき、県知事の認可を受けて市が施行するものでございます。この事業認可を取得する際の区域延長につきましては、周辺の状況等により個別に判断されるものとされ、明確な基準は定められておりません。しかしながら、効率的な道路のネットワークが形成され、自動車交通の円滑化及び歩行者の安全確保が図られる等、大きな公益性が得られることが認可の要件となっておりますので、基本的には幹線道路の交差点から交差点までの区間を申請するよう、県から指導されているところでございます。以上でございます。
三宅隆介
ただいまの御答弁の中で、交差点から交差点までの区間という御答弁がございましたけれども、道路整備には多額の費用を要することは当然ですが、限られた財源の中で効率よく整備をするためには、たとえ一定区間を拡幅整備する都市計画道路の整備であっても、まず交差点を先に整備することが、交通機能の処理には有効であると考えられます。つまりは、交差点に右折レーンがないために渋滞してしまう道路も多いのではないかと思うわけであります。交差点から交差点の間の整備よりも、まず先行的に交差点そのものに財源を集中し、そして右折レーンや左折レーンを設けることによって、当面の渋滞緩和につなげることができるのではないかと思います。少なくとも現在はそのような整備の仕方になっていない状況も見受けられるわけでございますが、どのような御見解かお答えいただきたいと思います。
経済局長(植松了)
都市計画道路の整備手法についての御質問でございますが、都市計画道路は、円滑な交通の確保といった交通施設機能のほか、都市の骨格をなす施設として、健全で活力と魅力のある快適な都市空間の形成に寄与し、あわせて防災上の役割やライフラインの収容スペースとしてなど、多様な役割を担っております。したがいまして、これまでの都市計画道路につきましては、地域の連携と都市計画道路ネットワークの形成を主眼とした幹線道路相互と接続する区間の整備を進めてきたところでございます。しかしながら、近年の社会・経済の動向、財政事情等を勘案し、限られた財源の中で効率よく整備するには、交通処理上ボトルネックとなっている交差点や、駅前など交通結節点周辺などの整備を優先的に行うことが重要となっておりますので、今後とも、国等と協議しながら、効率的な整備を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
三宅隆介
ありがとうございました。
次に、財政局長にお尋ねいたしたいと思います。道路財源としては、一般財源のほか、道路特定財源の制度や都市計画税があります。本市では、これまでどの程度の額が道路特定財源から道路整備に投入されたのか、過去5年間の年平均で結構でございますので、お示しいただきたいと思います。また、都市計画税はこれまでその多くが下水道の起債償還などに充てられてきたようであります。来年度予算案でも都市計画税はおよそ230億円あるわけでありますけれども、そのうちの約150億円が下水道の起債償還で消えてしまうという勘定であります。しかし、御承知のとおり下水道普及率が98%を超えた状況にまで整えられた今、この有効な財源を整備のおくれている北部の道路整備に充てていくべきではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか、御答弁をお願いいたします。
財政局長(楜澤孝夫)
道路財源についての御質問でございますが、初めに、道路整備の特定財源についてでございますが、都市計画税の一部及び自動車重量譲与税、自動車取得税交付金、軽油引取税交付金などの道路目的財源の全額を道路整備に充当しておりまして、平成12年度から平成16年度の当初予算の平均で、年約121億円余が充当されているところでございます。
次に、都市計画税についてでございますが、都市計画税は、地方税法におきまして「都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に」充当するものとして、規定されているところでございまして、平成16年度におきましては229億円余を計上しているところでございます。そのため、平成16年度におきましては、公園緑地施設整備事業や街路整備事業などの都市計画事業及び登戸地区土地区画整理事業、また、公園事業債元利償還金、街路事業債元利償還金及び企業債償還金のための下水道事業会計繰出金などに充当しているところでございます。
下水道につきましては、近年急激に整備を進め、平成14年度の人口普及率は98.2%となったところでございますが、建設時に多大な経費を要し、国庫補助金と企業債をその主な財源としております。その財源として活用した企業債の償還については、おおむね30年の償還年限でございまして、今後10年間についても、平成16年度と同額程度で推移することが見込まれておりますので、今後もその償還財源とすることは必要なことと考えているところでございます。いずれにいたしましても、限られた財源でございますので、有効に活用していかなければならないと考えております。以上でございます。
三宅隆介
次に、道路特定財源や都市計画税は、少なくとも現行制度上において継続的、将来的に確保されている財源でありまして、土地の価格が低下しているこの時期にこそ、都市計画道路用地などの取得すべき土地を、例えば土地開発公社や公共用地先行取得等事業特別会計、あるいは土地開発基金など、これらの本市の制度を十分活用して先行取得すべきだと考えます。過去にもこのような形で用地を先行取得していた例があるように仄聞しておりますが、そうした取得方法を、道路整備にも生かしていく発想があってもよいと考えます。特に当面の渋滞緩和にもつながるような、先ほど申し上げたような交差点整備など、必要とする箇所については、こうした資金により、用地を先行取得すべきではないかと考えます。それが有効的な取得方法だと考えますが、鈴木副市長の御見解をお伺いしたいと思います。
副市長(鈴木真生)
土地開発公社などを活用した都市計画道路の整備促進についての御質問でございますけれども、御案内のとおり、本市の土地開発公社につきましては、長期保有土地の縮減に向け、総合的土地対策を策定し、健全化に努めているところでございますので、一定の限界はございます。しかしながら、一方で、都市計画道路の整備につきましては、用地の取得が事業の根幹でございます。それに伴う費用につきましても、事業費の約8割を占めるというのが現状でございます。このため、事業認可を既に取得し、早期に供用開始が見込まれる路線で再取得が確実な用地につきまして、地権者からの要請などにより、用地を緊急に取得する必要がある場合につきましては、土地開発公社などの制度を有効に活用してまいりたいと考えております。以上でございます。
三宅隆介
ありがとうございました。今土地が下がって、底にあるのか、まだ底にないのかという判断が非常に難しいところだと思いますけれども、ぜひともそういう発想に立って、道路整備の充実を図っていただきたいと思っております。