昨日の12時13分ごろ、北朝鮮がまたもや我が国のEEZ(排他的経済水域圏)にむけて弾道ミサイルを発射しました。
日本政府の発表によりますと、北朝鮮西岸の黄州(ファンジュ)付近から3発の弾道ミサイルが東北東方向に発射された模様で、発射された弾道ミサイルは、いずれも約1,000㎞飛翔し、我が国の排他的経済水域内に落下した模様です。
8月3日に続いて、我が国のEEZ(排他的経済水域圏)へのミサイル発射ということになります。また、中国・杭州においてG20サミットが行われている中での発射です。
むろん我が国の安全保障上の脅威であり明らかな挑発行為でありますが、同時に国際社会に対する挑発行為でもあります。
これに対する日本政府のリアクションは、「破壊措置命令」を常に発令した状態にするなどの対処を行いつつも、結局は常のとおりで、
「今回の発射は関連安保理決議等に違反するものであり、直ちに北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に対して厳重に抗議するとともに、最も強い表現で非難しました。このような北朝鮮による度重なる行為を我が国は断じて容認することはできません・・・」
というアナウンスを繰り返すのみです。
米ソによる冷戦期、もしくはその後の米国による一極秩序時代であれば、こうした小国(北朝鮮)の悪行など簡単に掣肘されていたはずですが、すでに一極秩序は崩れ、国際秩序の脅威となる存在を除去し掣肘してくれる覇権国なき時代となりました。
「どうせ北朝鮮のミサイルなど精度が低く、いざとなったら命中などしないから捨て置け」などと言っている人もおられますが、舐めてはいけません。
北朝鮮といえども、それなりに開発費を投じ発射経験を継続的に積んでいけば、間違いなくその技術やノウハウが蓄積され、精度は向上していきます。
それに対し、考えてもみてほしい。我が国の現状を・・・
長引くデフレで経済成長できず、その成長しないGDPの僅か1%にも満たない防衛費で、しかも軍事部門への研究開発費は主要国の中でも最低レベル。あまつさえ、壊滅的な破壊により終戦をむかえた敗戦ショックから、国防を担う自衛隊の活動には様々な制約があります。
それでいて9条がどうの・・・、必要最小限の自衛力がどうの・・・と、為政者たちの安保議論は戦後一貫して一定レベルを超えてくれません。ここでいう一定レベルとは、アメリカが日本を守ってくれること前提のレベルの意です。
覇権国なき時代における我が国の外交・軍事・安全保障戦略なるものが、とっくの昔に構築されていなければならないのに・・・
なのに、なのに、そんなことはそっちのけで、国権の最高機関を担っている人たちは秋のお祭りへのお顔出しでとてもお忙しいご様子です。