先日、出演させて頂いたラジオ番組(ラジオ日本『マット安川のずばり勝負』)で、消費税増税は福祉財源の確保などではなく法人税減税の穴埋め財源である、という指摘をさせて頂きました。
その後、番組をお聴きになられていたリスナーのかたより、「消費税と法人税の関係をもう少し詳しく教えてほしい」というお問い合わせを頂きましたので、以下、ご説明申し上げます。
消費税増税は福祉財源と言われてきましたが、昨年は介護報酬がカットされ、今年は診療報酬までもが削減されます。
その一方で、法人税及び消費税の税収推移をグラフ化しますと、法人税減税による減収が消費税増税による増収で賄われてきたようになっています。
法人税を安くすると、企業の純利益が増えます。株主への配当金は純利益から支払われますので、自然、法人税利益は株主利益になるわけです。とくにグローバル投資家らは法人税減税を求めます。
「そうはいっても・・・国際的にみて日本の法人税は高いと聞いている。法人税が高いと対内投資が増えないんじゃないの?」的な主張が必ずでます。
アメリカの法人税率をみますと、なんと日本よりも10%ちかくも高い40.75%です。フランスも33.33%と日本よりも高く、ドイツもさほど日本と変わりません。
では、日本よりも法人税率の高いアメリカの対内投資はどうなっているのでしょうか。
上のグラフのとおり・・・です。
アメリカの対内投資は、日本をはるかに上回っています。
即ち、その国の対内投資と法人税率の水準との間には優位な関係性はありません。
経営者の皆様によれば「投資するかしないかは、儲かるか儲からないかで決める」のだそうです。少なくとも、法人税率を投資の目安などにはしないそうです。
日本への投資が少ないのは、たんにデフレで儲からないだけの話のようです。
財務省が法人税率を下げ消費税率を上げたがる理由は様々ありますが、とりあえず景気に左右される法人税よりも消費税という安定財源を確保したいのだと思われます。
因みに、アメリカには日本の消費税にあたる税金はありません。かの国には売上税という税金がありますが、日本の消費税とは制度的に全く異なります。
消費税は中小零細企業や低所得層への負担が大きく、グローバル投資家や大企業には負担の少ない税制です。
その意味で消費税は、いわば人頭税にちかいといっても過言ではなく、新古典派経済学などクラシカルな経済学では実に有効的な税制の一つとされています。
一方、日本国内で働き、日本語を話し、所得で生活する、いわゆる国民経済派の人たちにとっては、実に心地良くない税の一つです。