これまで市議会においても再三にわたり指摘をしてきましたが、介護分野をはじめ福祉施設等で働く方々の処遇改善が急がれています。
『介護職の離職率16.5% 14年10月からの1年で
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05HBC_V00C16A8CR8000/
2014年10月からの1年間に全国の介護職員の16.5%が仕事を辞めたことが5日、公益財団法人「介護労働安定センター」の15年度の調査で分かった。離職率は前年度から横ばい。人手不足と感じる事業所の割合は2年連続で増えており、介護現場の労働環境は依然厳しいといえる。同センターによると、職員の離職率はここ数年でわずかに低下したものの、大きな改善はない。一方、施設側に職員が足りているか尋ねたところ、「大いに不足」「不足」「やや不足」が計61.3%に上り、前年度より2ポイント上昇した。不足の理由(複数回答)は「採用が困難」が70.8%で最も多かった。(後略)』
離職率の高さ、人手不足の要因の一つに、他の産業に比べ職員の給与の低いことが挙げられます。
上のグラフのとおり、現在の介護現場では、介護福祉士の登録者のおよそ6割弱しか現場に従事していないのが実態です。
このことは、介護や福祉分野における人材投資が為されていないことを物語っています。なぜなら、安定した給与支給(人件費)というのは「人材投資の償却」という性質をもっているからです。
過日の東京都知事選挙中、候補者のひとりである鳥越氏が思いつきで「都立保育園を増やして待機児童問題を解決していく」という発言をされていましたが、氏は現在においても保育士が足りていない実情を知らないのでしょう。
最近では、介護や保育をはじめ、医療や福祉の分野においても「株式会社化の必要性」を提言する議員や評論家がおります。しかし、このデフレ期に、もしそのようなことをすれば益々もって現場で従事する職員さんたちの給与体系に引き下げ圧力がかかることでしょう。
くどいようですが、人件費とは「投資の償却」です。正規職員として安定的かつ長期的に給与を貰えるからこそ、その職員は人材としての能力を蓄積していくことができるのです。
「低賃金の派遣社員を短期で雇用することこそ会社と株主の利益」と考える新古典派経済学(グローバリズム)に洗脳された人たちには解らないでしょうけど・・・