我が国の10年物国債がマイナス金利になったことは既に周知のとおりですが、いよいよ20年物国債の利回りまでもがマイナス圏に突入しました。
『国債、消えゆく利回り 20年物も初のマイナス
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04542170W6A700C1EE8000/
国債の利回りが消えつつある。6日の債券市場では新発20年物国債利回りが一時マイナス0.005%と、初めてマイナス圏に突入。終値ではプラス利回りを回復したが、仮に20年債利回りのマイナス圏が定着すれば、全体の9割の国債がマイナス金利になる。既に償還が19年後の国債もマイナス金利になっており、投資家の困惑も強まっている。(後略)』
上記のニュースを聞いて、「だから日本国は財政破綻するぅ~」という無知は今時さすがにいないでしょう。
いや、いないことを祈ります。
破綻(デフォルト)する可能性の高い国債が、マイナス金利になるほどに価値が上がろうはずはありませんので。
どうしてマイナス金利になるほどに日本国債の価値は高まっているのでしょう。それは、日本銀行が量的緩和している一方で、政府が頑なに国債発行を抑制しているからです。
政府が国債を発行しないがために、市場の国債が枯渇しています。いまや、民間金融機関の国債保有率は既に日銀の国債保有率を下回っています。
下のグラフのとおり、今や日銀の国債保有率は34%を超えています。(別に、それ自体は悪いことではない)
問題は、このまま量的緩和を進めていくと、いずれ日銀が購入すべき国債が市場から消えてしまうことです。
政・官・財の各界に川崎市ばりのプライマリーバランス馬鹿が蔓延っているため、デフレ脱却のために必要な国債発行に抑制圧力がかかっています。
一方、日銀の発表によれば、マネタリーベース(日銀が発行した日本円と政府発行貨幣の合計)が6月時点において約390兆円にまで達しました。これで第二次安倍政権発足以降、255兆円以上のマネタリーベースを増やしたことになります。
なのに・・・インフレ率はマイナス。おカネはジャブジャブなのに、物価が一向に上がらない。
いい加減に気づいてほしい・・・
マネタリーベースを増やしただけではデフレを克服できないことを! そして、デフレ期のプライマリーバランス黒字化目標が、こうした事態を招いていることを!
デフレは需要不足。また民間に需要不足を埋める力がないのもデフレです。今こそ、政府がジャブジャブのカネを借りて(国債を発行して)、使う(需要創造する)ときです。
しかしプライマリーバランスの黒字化目標が優先され、一向に有効な手だてをうてないでいます。
こうした中央政府の愚策を川崎市という地方自治体も立派に踏襲しています。 普段から、口を開けば「これからは地方分権が大事」とかいうくせに・・・
川崎市のインフレ率(コアCPI)も、直近でわずか0.1%です。長引くデフレ経済のなか、川崎市役所という行政だけが着実にプライマリーバランスの黒字化にむかい、商店街をはじめとした地域経済は需要不足で干上がっています。
愚策をも分権されちゃぁ、かなわない。