昨日の毎日新聞でも取り上げられていましたが、経済対策の事業規模が20兆円を上回る可能性がでてきました。
その内容(事業対象)を確認してみないと何ともいえませんが、短期的な規模としては適切な判断だと思います。
おそらく、内閣官房参与の藤井聡先生あたりが方々に走り回り、各政策担当者たちを説得してまわるなどして孤軍奮闘されている成果かと思われます。
一方、グローバリズム(新古典派経済学)の御用新聞といっていい日本経済新聞は以下のような記事を書いています。
『経済対策、事業規模20~30兆円に膨張も 見栄え優先
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H3E_R20C16A7EA2000/
来月初旬にまとまる経済対策の事業規模が総額20兆~30兆円に膨らむとの見方が強まってきた。市場や与党では大型対策への期待感が先行し、安倍晋三首相も財政を「最大限にふかす」と財務省に圧力を強めている。「規模ありき」で肝心の中身や効果が置き去りの議論には冷ややかな声も広がっている。(後略)』
見出しには「事業規模20~30兆円に膨張も 見栄え優先」とありますが、20~30兆円に「拡大」と書けばいいものを、わざわざ「膨張」と書いて「見栄え優先」とつづきます。
この新聞社、財政出動と公共事業がよほどに気に食わないのでしょう。
一方、昨日は株価を重視しているこの新聞社にとってうれしいニュースもありました。
『公的年金が選別投資 環境・企業統治など重視
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC21H1C_R20C16A7MM8000/
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、環境や企業統治を重視した企業を選別して資金を流すESG投資に乗り出す。企業統治などが優れた銘柄で構成する新たな株価指数を作り、早ければ年度内にも投資を始める。(後略)』
年金積立金の株式での運用比率をどうしても高めたいということです。あからさまにそうは言えないものだから、環境や企業統治を重視した企業を選別して、などという理屈をコジツケてきました。
「そんなこと言ったって、国債金利が低すぎて利回りが悪いんだもん!」
とでも言いたいのでしょうが・・・
それは政府が財政出動をせず、これまで長期間にわたってデフレを放置してきたことの結果です。今後、財政出動してデフレを脱却することができれば自ずと長期金利は上昇していきます。
今にして思うと、株式市場に年金積立金を投入したいがために、あえてデフレを長期化させ国債金利を下げてきたのではないか! と勘ぐりたくさえなります。
下のグラフをご覧ください。
公的年金の国債・国庫短期証券の保有(運用)額の推移です。保有(運用)額が減りだしたのは明らかにリーマン・ショック以降であることが解ります。その資金は株式市場に向かったものと思われます。
一方、日経平均株価の推移をみてみます。
ご承知のとおり、リーマン・ショック以降、黒田日銀による量的緩和(円安)に至るまで日経平均は約5年間にわたり低迷を続けていました。不思議なことに、その時期は公的年金の国債・国庫短期証券の保有(運用)額が減った時期に重なります。
年金積立金を管理運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国内株式だけでなく外国の株式市場での運用比率をも高めていますので何ともいえませんが、国民の貴重な年金積立金が株価(日経平均株価)の下支えに使われた可能性が充分にあります。
くりかえしますが、財政出動してデフレを脱却すれば、景気が回復するのみならず長期金利も一定水準に回復します。自然、年金積立金の運用利回りも改善します。よって無理に株式市場での運用比率を拡大する必要はありません。
そもそもあのアメリカでさえ、年金積立金を株式市場で運用することなどしないのに・・・