長期金利がマイナスになるほどに、市場の国債が枯渇しています。政府が意固地になって財政出動に必要な国債を発行しないからです。
金融緩和は財政出動とセットで行われなければ意味がありません。その意味とは、むろんデフレ脱却という目的のことです。
デフレにより運用先に窮している金融機関は挙って僅かな国債に殺到しています。それほどに市場は国債を求めているのです。
金融機関にしてみれば、デフレを脱却して投資先(運用先)を増やせるようにするか、国債を発行してとりあえずの運用先を確保できるようにするか、どっちかにしてくれ、ということでしょう。
『日銀ETF購入、保育支援も対象 人材投資「積極的な企業」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98484170V10C16A3EE8000/
日銀は15日、4月から購入する「設備・人材投資に積極的な企業」を対象にした株価指数連動型上場投資信託(ETF)の基準を決めた。研究開発費を増やしていたり、保育支援を充実させたりしている企業を組み入れたETFなど具体的な条件を示した。基準の公表を受け、国内の運用会社の間で新たなETFの組成が急ピッチで進みそうだ。(後略)』
上記のとおり、日銀は量的緩和の補完措置の一環としてETF(上場投資信託)を買い増す(現在の年3兆円のETF購入枠と別に年3000億円を購入する)とのことです。
ETFは、TOPIX(東証株価指数)やJPX日経インデックス400といった株価指数や、金価格などの指標に連動するよう投信会社によって運用されています。
要するに「日銀にできることはすべてやる」ということで、金融機関からの国債購入を量的緩和とすれば、今回の措置は「質的緩和」ということです。
先日も掲載しましたが、国債保有者の内訳は上のグラフのとおりの状況です。
一方、そうした中、今年2月のETF売買状況を見ると下のグラフのとおりです。
グラフのとおり、今年2月時点でのETFの売り買いの合計をみると、その62%は海外投資家による売買です。株式市場同様に海外投資家の意向によって相場が決定している世界のようです。
政府が素直に財政出動(国債発行)してデフレ脱却していれば、日銀がわざわざETFを買うまでもないと思うのですが・・・
『経済分析会合は16日スタート、スティグリッツ氏ら招く
http://www.sankei.com/politics/news/160307/plt1603070044-n1.html
政府が5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、世界経済情勢について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」の初会合を16日に開くことが7日、分かった。初会合には、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授を招く方針だ。(後略)』
ジョセフ・スティグリッツ氏はおそらく消費増税の延期を助言するんじゃないでしょうか。あるいは財政出動の必要性を説く可能性もあります。
もしそうなれば、総理の好きなアメリカ様のご指導です。アメリカ様に言われないと実行できない、という主体性なき日本政治には辟易としていますが、もうこの際、それでも結構です。
デフレ脱却のための正しい施策を実行してください。