この世には、どんなに理を説こうとも、まったく現実を見ようとも耳を傾けようともしない人々がいます。
ソクラテスやプラトンもそのことを大いに嘆いていたようですが、例えば市内事業者に対して前のめりにChina(中国)大陸へのビジネス展開を促してきた川崎市経済労働局もその類です。
川崎市のホームページ・・・
『中国、タイ現地での海外展開サポート拠点について~オフィスとして利用可能なスペースや連絡代行機能のサービスを提供します~
http://www.city.kawasaki.jp/280/page/0000068020.html
川崎市では、市内企業の海外での販路開拓サポートのため、中国・上海、瀋陽、タイ・バンコクにて、オフィスとして利用可能なスペースや連絡代行機能のサービスの提供を行います。(後略)』
とはいえ、もっと罪深いのは日本経済新聞社でしょうか。散々に日本企業の中国投資を煽ってきたのですから。
私は市議会でも、例えば「低賃金は必ずしもローコストとは限らないんですよ」など、ことあるごとに中国リスクへの警鐘を鳴らしてきました。
せっかく生産した商品を彼の国の低賃金労働者がネコババしてしまうケースが多いことに嘆いている現地企業の悲鳴を耳にします。そのネコババを監視するために、工場内に警備員を配置しなければならないケースもあるようです。
ある現地企業によると、配置した警備員までもがネコババ社員に買収されてしまうため、警備員を警備するための警備員を配置し、かつ監視カメラまで設置しなければならない有様だそうです。むろん、そのことによりコストは余計に嵩んでしまうとのこと。
結局、その国の労働者の道徳水準や教育水準、あるいは社会全般の文化や民度の成熟度などまでをも考慮しなければ真のローコストを享受することはできないということです。
一方、今年1月19日、中国の2015年の実質GDP(国内総生産)成長率は、前年に対して6.9%増と発表されました。輸出入が下のグラフのとおり減少しているにもかかわらず、GDPだけが6.9%も伸びる中国はさすがです。川崎市の経済労働局が太鼓判を押してビジネス展開を促すのもわかります。
更に下のグラフは、中国の鉄道貨物輸送量の増減率です。
ある識者によれば、現実の2015年の成長率はマイナス2~3%ではないか、とのこと。
また、聞くところによると、いざ日本企業が中国から撤退しようと思っても、なかなか撤退できないそうです。
「撤退できない」というよりも、撤退のための手続きを進めようとすると中国当局から陰に陽に嫌がらせをされ撤退させてくれない、というのが実状のようです。現地の設備も技術も何もかも捨てて、夜逃げ同然で国外脱出してきたという日本企業もあります。
戦前、日本企業が紡績業を中心に、あまりにもシナ大陸に進出しすぎたがために、シナ事変で日本軍が撤退したくともできなくなってしまったという苦い史実が今に重なります。
だから「日本は歴史の反省が足りない」などと隣国から言われてしまうのです。
なのに、3月14日付けの川崎市のホームページで以下のような広報が載っていました。
中国・上海で開催する展示商談会への参加企業を募集します!
http://www.city.kawasaki.jp/280/page/0000075386.html