いわゆる農協改革について、昨日の続きです。
これまでの農地法は、基本的には農業関係者以外の農地取得を認めていませんでした。また、法人企業の農地取得についても厳しく制限されていました。
なぜなら、農地が減るということは、日本の食料自給「力」(率ではない)が弱体化することになるからです。
ところが、今回の法律改正によって…
1.農業と無関係な株式会社が農業生産法人に49.9%まで出資可能となり、しかも外資規制なし。
2.役員の農業従事者は一人でも可。
3.農地の転用を認める農業委員を自治体の首長の任命制に。
と、することになりました。
まず1.についてですが、特別決議には2/3の賛成が必要です。外資に1/3以上の株を持たれると、その農業生産法人は事実上支配されることになります。
次いで2.については、これまでは過半数が農業従事者でなければならなかったのですが、今後は農業従事者が一人いれば、あとは農業に理解のない人たちでも構わないということです。
そして3.については、これまでの農業委員は農業従事者を中心に構成されていました。しかし今後は、例えば首長さんがグローバリズム思想の持主であった場合、商業転用推進派のような人たちで定数の半分以上を占めることが可能になります。
こうした一連の農協関連法が改正されたことによって、利益の上がらない農地が不動産ビジネスの対象にされる公算が高くなりました。そのことは即ち、我が国の食料自給力の低下を招きます。
例えば、川崎市には約25ヘクタール(東京ドーム約5個分)の耕作放棄地があります。
川崎市長さんが、例えば竹中平蔵氏、楽天の三木谷浩史氏、サントリーの新浪剛史氏らのようなグローバリズム推進派のような農業委員を任命するとします。
するとまちがいなく、「誰も耕作する人がいないなら、転用して商業施設にでもしたほうがいい」となるでしょう。それに「食料自給率なんか低下したって、外国から常に輸入できる自由貿易体制を推進すればいいじゃないか」「だからTPPが大事なんだ」とか…
彼らにとっては、食料安全保障の何たるか、など関係ありません。