7日以降(特に7日朝)の発射可能性が高いとされている北朝鮮の長距離弾道弾に対して、防衛省は警戒態勢に入っています。このブログを書いている現在(Am7:00時)においては未だ発射されていません。
『北朝鮮、中国けん制か ミサイル発射期間前倒し
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE06H05_W6A200C1PE8000/
北朝鮮が6日、事実上の長距離弾道ミサイルの発射予告期間を前倒しすると通告し、国際社会をかく乱している。南西諸島上空を飛ぶルートに変更はなく、政府は発射の可能性がある7日朝に備えて、安倍晋三首相が首相公邸に入るなど警戒を強めた。(後略)』
下の図は、北朝鮮の各種弾道ミサイルの射程距離を示したものです。クリックすると拡大します。
誤解されている方も多いのですが、我が国を対象にしているのはテポドンでなくノドンです。ノドンによって既に日本の国土はすべて射程距離に入っているのです。
こうした北朝鮮のミサイル脅威に対抗して、2013年6月に自民党が『新防衛大綱』に対する提言の中で「敵ミサイル基地攻撃能力の保有」という検討項目を掲げました。
要するに、今回のように北朝鮮が日本に対してミサイルを発射するような事態になった場合、日本が敵地である北朝鮮のミサイル基地を攻撃して撃破する。そのための攻撃能力を持つということです。
とはいえ、軍事的な観点から考慮するとそれはそれで難しい問題が山積しています。
例えば・・・
①対象となる目標情報を正確に掴むためには24時間の監視体制が必要であり、そのためには複数の偵察衛星が必要。
②ミサイルを発射した場所を衛星によって特定できたとしても移動式発射台なのでミサイルはすぐに移動してしまう。そのため機械的な監視には限界があるので、情報機関を設置して人的な情報収集を強化しなければならない。
③核を保有していない日本が敵地攻撃を行うには、空爆、あるいはトマホークなどの巡航ミサイルによる攻撃を可能にするための大量の弾量を整備する必要がある。
そして最も高いハードルは、①~③を実現するための予算をいかに確保するのか、あるいは、いわゆる専守防衛論との関わりなど国民世論をいかに説得するのかという政治的議論を乗り越えなければならないということです。
以上のような現実を踏まえると、従来のような「個別的自衛権」や「集団的自衛権」のような枠組みでの防衛論でなく、「集団安全保障」の枠内でのミサイルディフェンス・ネットワークに入ることを真剣に議論する必要があります。
あるいは、地方自治体レベルでも実現可能な対抗措置として、シナやスイス、あるいはスウェーデンが既に行っているように、駅の地下街などに核シェルターを設ける一方、民間防衛組織等の訓練を行うことも早期に進めることが必要です。
「まさか北朝鮮が本当にミサイルを発射することなどないだろう」と思われている皆さんも多いことかと思われますが、あの種の国は追い詰められると何をするかわからないので、あまり楽観視すべきでないと思います。