『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第15回
近代以降の世界では、地政学リスクという面において、概ねヨーロッパが常にその震源地となってきました。まさに二つの世界大戦はその代表例ですが、よく考えてみれば根源的な意味でグローバリズムの扉が開かれたのもサッチャー時代の英国でした。それがやがてユーロ・グローバリズムとして現在に至ります。
しかし、そのユーロ・グローバリズムは今や融解をはじめました。
EU内において、ヒト・モノ・カネの国境を越えた移動の自由を認めたものの、モノやカネの移動の自由は例えばギリシャ問題をつくり、ヒトの移動の自由については難民問題及び移民問題を深刻にしています。加盟国間において国境検査なしで国境を越えることを可能としたシェンゲン協定も今や有名無実となりつつあります。
一方、ヨーロッパを中心とした世界地図という観点からみますと、極東アジアでの地政学的リスクの発信源は常にシナです。とりわけ第一次世界大戦前には義和団事件があり、清朝が滅亡に至る辛亥革命によって大陸は瞬く間に各軍閥による内乱状態へと移行していきました。
明治開国以来の日本は、隣国の自己解決できない不安定状態に、常に悩まされ続けています。そもそも我が国の隣国が近代国家として自立し安定化していてくれさえすれば、我が国が日清・日露の戦役を戦う必要もありませんでした。
翻って現代をみますと、ここにきて、これまで世界経済をけん引してきたチャイナ・グローバリズムにも暗雲が立ち込めています。今や、中国共産党政権の崩壊がカウントダウンに入っている、という識者まで現れていますが、いずれまた大陸は各軍閥に分かれて内乱状態に突入するのでしょうか。
少なくとも言えることは、シナの経済状態が行き詰まってきたことは確かなようです。解りやすいのは原油価格です。下の図のとおり、WTI原油価格が下落を続けていますが、原油のみならず鉄鉱石や石炭といった他の資源価格も下落しています。
シナによる資源の「がぶ飲み」を前提として、これまでのグローバリズム経済は支えられてきたようなものですが、輸入量が前年比で20%減であることからも明らかなように、シナの資源需要は確実に落ち込んでいます。
かつては輸出競争力を維持するために人民元の「売り」介入を行ってきた中国人民銀行でしたが、今や人民元を買い支えなければならないほどに窮地に陥っています。
ロイターによれば、中国国家外為管理局が、この年明けから個人の外貨購入に関する取り締まりを強化することを明らかにしたそうです。現在、個人は最大で年間5万ドル相当の外貨購入が許されているようですが、新制度では上限超過が見つかった個人は中国国家外為管理局が管理する「監視対象者一覧」に載ってしまうとのことです。
更にシナは不法な資金の流出はもとより、資本超過を抑え込むことに力を入れ、外国為替市場にもかつてなかったようなやり方で取り締まりをかけているとのことです。
かなりの外貨準備高をとりくずして人民元を買い支えていることはかねてより仄聞していましたが、いずれ日本や外国でのシナ人の爆買いも規制の対象になるかもしれません。
シナ人の爆買いに依存している日本の経営者の皆さん、そろそろお気を付けを・・・