『時代は再び第一次世界大戦前~日本よ、備えはあるか』
第12回
この連載のタイトルは『時代は再び第一次世界大戦前・・・』なのですが、一つだけ、当時とは全く異なる大前提があります。
当時の日本は日清・日露の戦役に勝ち、第一次世界大戦後には世界の主要国の一員として名を連ねることになりましたが、現在の日本は大東亜戦争に負け、過酷な占領政策を受けてきた敗戦国のままであるということです。
要するに、第一次世界大戦前の日本国および日本人には「自虐史観」など微塵もなかったのですが、現在の多くの日本人にはそれが病的なまでに染みついています。むろん、為政者たちにも。
去る12月28日に、日韓両政府がソウルで外相会談を開き、いわゆる慰安婦問題を決着させることで合意した、という報道がありました。
驚くことに、日本政府が「軍の関与や政府の責任を認め、元慰安婦支援で韓国政府が新たに設立する財団に日本から10億円を拠出する」とのことです。そして日韓双方が、この枠組みを「最終的かつ不可逆的解決」とすることを確認したということです。
更に驚いたのは、安倍総理が「韓国が慰安婦問題をもう蒸し返さないと約束できるのなら、子供たちを謝罪の宿命から解放できる」(産経新聞)と、今回の合意に関してコメントしたことです。
謝罪の宿命、とは何でしょうか? そんなものがいつから存在していたのでしょうか。いくら戦後教育を受けてきたからといって無知蒙昧にも限度があります。安倍総理が、ここまで自虐史観の持ち主であったとは残念です。いや、事は残念の一言では済まされません。
今回の合意を肯定的にとらえている日本人も多いようですが、おそらく世界では、「日本国は、性奴隷に対する日本軍の関与を認め、10億円の賠償を支払った」と評価されることになるでしょう。
そして、いずれまた韓国政府は「日本政府は軍の関与を認め謝罪し、10億円の賠償金を支払った」経験があるのだから、戦後○○年を期して改めて日本政府に謝罪を求めたい、とか言ってくるに違いありません。あるいは、日韓合意は政府どうしの合意であって、韓国あるいは韓国系の民間団体には関係がない、とか言って、民間団体らは今回の合意を逆手にとって、いわゆる慰安婦問題による反日活動をさらに激化させることでしょう。それに対し韓国政府も「民間の活動だから規制はできない」といって何らの対処もしないでしょう。
ただただ、我が国だけが世界の中で貶められていくことになります。
我が国(日本国)は、昭和40年に締結した『日韓基本条約』をもって、韓国政府に対するすべての戦後処理を最終的に解決している、という原則をなぜ日本の政治家たちは理解できないのでしょうか。彼らが未だ占領政策による自虐史観に洗脳されているからでしょうか。
今回の日韓合意は、将来に深い禍根を残す第二の河野談話といってよく、いや、それ以上の罪です。