全国の自治体で「自治基本条例」の制定が相次いでいます。国の地方分権一括法の制定を契機とし、各自治体において「自治基本条例」制定の動きが活発化しました。現在では、全国の約100自治体で制定の動きが広がっています。
川崎市においては、平成17年に「自治基本条例」が制定されました。制定以来4年以上が経過しましたが、制定された条例や制度が、きちんと機能しているのか、あるいは何らかの弊害になってはいないか、それをチェックすることも議会としての大切な役割であり義務であると考えます。日を重ねるにつれ、この条例の問題点が明らかになりました。私はこれまで議会の場ではもちろんのこと、本市当局や同僚議員、そして有権者の皆さんに対し、この条例の危険性について警鐘をならしてきました。結論からいえば、この条例は不必要な条例です。行政ゴミの一つと言っていい。
その理由は以下のとおりです。
まず、自治基本条例とは何か、ということですが・・・
自治基本条例は、一般的に自治体の最高規範(自治体の憲法)として位置づけられています。他の条例等の制定や改廃にあたっては、この条例の内容に適合させなければなりません。また自治体によっては、この条例の制定を外国人地方参政権への足がかりとしているケースもあります。更には国の政策と真っ向から対立する政策を盛り込む自治体さえもあります。この条例には、様々な政治参画と意見表明の方法が盛り込まれるなど、誰にも反対できないような美辞零句が謳われ、この条例を遵守することを議会や市民に宣誓させています。いわば典型的な理念条例です。
つぎに、この条例の主な問題点ですが・・・
①日本国憲法や地方自治法は代表民主制を原則とし、直接民主制を補完的措置として位置づけているのに対し、自治基本条例は明らかにこの原則を否定しています。直接民主制は不平等かつ危険な制度です。
②理念を条例化することは全体主義思想そのものです。この条例自身が不磨の大典と化し改正できないものとなります。
③市民が選んだ議会よりも、選挙でオーソライズされなかった少数意見が尊重され自治を牛耳ることになります。
④地方自治法の定義とダブらせることにより、地方自治法に対し対等ないし優越を主張し国家の上位性を歪めています。
⑤この条例でいう「市民」には、市に住む人のほか、勤務する人、市内の学校の学生、また外国人も含まれます。
⑥市外の住人や外国人も市民の権利を左右でき、選挙権と被選挙権が侵害されます。 ほか。
結論・・・
①この条例は、参政権の不平等であり無駄かつ有害である。よって必要なし。
②この条例は、裏口からの外国人地方参政権の付与である。
③自治基本条例をはじめとした「理念条例」には、国家解体思想が構造的に仕込まれている。
④保守には、理念を法令化するという傲慢な発想はない。
⑤地方政治の改革は、何よりもまず議会の活性化と議員の質的向上にある。