昨日に引き続いて、8月2日に閣議決定された経済対策についてから話を起こします。
総額28.1兆円の内訳は、真水(財政出動)で7.5兆円で、政府が民間にまた貸しするいわゆる財政投融資で6兆円、残りは政府系金融機関等の融資枠の拡大とのことでした。
ポイントは7.5兆円の真水によって、どの程度の民間投資が促されるのか、といったところでしょうか。
基本的には「デフレ状況からインフレ状況への大転換」がなされないかぎり、企業投資及び資金需要が増える可能性は小です。
現に、長引くデフレで金融機関の預貸比率(貸出÷預金)は悲惨なほどに下落の一途を辿ってきました。
一方、金融機関の貸出態度DIをみますと下のグラフのとおりです。
グラフはそれぞれ、大企業向け(青)、中堅企業向け(オレンジ)、中小企業向け(グレー)になっていますが、いずれにおいても銀行の貸出態度はだいぶ良くなっています。
今や、リーマン・ショック以前の水準を上回っています。なのに貸出が増えない。
要するに銀行としては、
「貸したくて貸したくてたまらないのに、借りてほしい人が借りてくれない」
という状況です。
7.5兆円程度の真水で、果たしてどれほどの資金需要が創出されるのでしょうか。
今回の経済対策における僅かな望みの綱は、JR東海が進めているリニア新幹線です。
リニア新幹線を巡っては2日に閣議決定された経済対策の中にJR東海への支援が盛り込まれています。この事業は財政投融資を活用して行うJR東海の事業になっているわけですが、一応これによって、45年とされてきた全線開業時期を最大で8年前倒しすることが可能になったことになります。
といっても、極めてショボイ話です。
どうせなら大胆に建設国債を発行して一気呵成に大阪までつなげてほしいものです。
例えば、金沢では北陸新幹線が開通したことによって投資ラッシュが起こっています。
この北陸新幹線が京都もしくは大阪とつながり、やがては羽越新幹線や山陰新幹線などともつながってネットワーク化されたなら、ますます投資が拡大することでしょう。そうなれば金沢のみならず、北陸地方全体の生産性の向上(地域振興)を必ずやもたらします。
さらには、藤井内閣官房参与のご提言どおり、リニアが大阪までつながり、その大阪が山陰新幹線、山陽新幹線、四国新幹線、北陸新幹線、東海道新幹線のターミナル駅になれば、疲弊している大阪(関西)経済は再び活況をとりもどすことが可能です。
ぜひ大阪府知事も、こうした主張(運動)を展開すべきです。「大阪都構想」などというお粗末な考えは捨てて・・・