政府が検討している20兆円規模の経済対策の中身に暗雲が立ち込めています。
どうやら財務省としては可能な限り「真水」(公的固定資本形成及び政府最終消費支出)を抑え、政府が借りた資金を民間に又貸しすることで民間投資を促す、いわゆる財政投融資によって事業規模を膨らませようという魂胆のようです。経済評論家の三橋貴明先生によれば、政治家の圧力をかわすために全体の額を膨らませて報道させ、実際の「真水」を絞り込もうとしているのではないか、ということです。
昨日の日本経済新聞、「見栄え優先」の記事はあながち間違いではなかったのかもしれません。
経済対策は許しても、財政出動だけには徹底的に抵抗しようという財務省の歪んだ執念を感じます。
財政投融資とは例えば、JR東海のリニア新幹線前倒し開業のために使われます。政府が建設国債を発行して公的固定資本形成(公共事業)を行うものではありません。
真水という財政出動が不充分な場合(下手をすると3兆円程度)、デフレ(総需要不足)から脱出するに必要な速度を確保することができない、と内閣官房参与の藤井聡先生も指摘されています。
与党の国会議員の先生方、ぜひ財務省に騙されないようにしてください。といっても、財務省に理論的にも政治的にも逆らえるサムライ議員は果たして国会に何人ぐらいおられるのか・・・
さて話しはガラリと変わりますが、何かと車で移動することの多い私には朗報なのですが、ガソリン価格が下がっています。
『ガソリン平均122・7円…3週連続で値下がり
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160721-OYT1T50137.html
資源エネルギー庁が21日発表した全国のレギュラーガソリンの平均価格(19日時点、1リットルあたり)は、前週より0・8円安い122・7円と、3週連続で値下がりした。7月の価格としては2009年以来となる低水準で、夏の行楽シーズンを迎えて家計などの負担感が和らぎそうだ。(後略)』
国際商品である原油相場は様々なファクターで動きますが、何といっても中国経済の停滞が大きいのではないでしょうか。
中国人による爆買いを規制しはじめているほどに、中国経済は今や低迷著しく人民元は弱くなっています。
中国経済の低迷により、それをあてにしていた新興国経済をはじめとして、世界的な需要不足が生じていることから原油需要が低迷しているものと推察します。
それを証明するように、人民元の対USドル相場とWTI(アメリカ南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称)相場が同じ曲線をたどるように下落しています。
既に4月8日付けの産経新聞でも、次のような記事がありました。
『「爆買い」に赤信号? 中国が関税引き上げの強行策
http://www.sankei.com/world/news/160408/wor1604080040-n1.html
中国政府は8日、海外で購入した商品に課す関税を引き上げた。中国人観光客が日本などで大量の買い物をする「爆買い」に歯止めをかけ、低迷する国内消費を促す狙いとみられる。中国人の爆買いの減少による、日本の百貨店など小売業の売り上げに対する影響が懸念される。(後略)』
この記事のとおり、銀座の百貨店では、めっきり爆買い需要が減ったようです。
これまで爆買い需要に依存してきた業界・業者は、今後しばらく厳しい経営環境に曝されるのではないでしょうか。
「インバウンド(外国人観光客)を増やして、観光立国をつくろぅ~」
というような、外需がなければ日本は発展しない的な自虐思想は捨てて、内需主導で分厚い中間層をつくり、かつ自然災害に強い国土をつくることが可能な国民経済を創っていきましょう。
そのためにも一定規模の真水(財政出動)が必要です。
そういえば、利根川水系も深刻な水不足でした。
水枯るこのごろの日本です。