またしても、信じがたく許しがたい、残忍にして凄惨な事件が発生しました。
『相模原19人刺殺、すべて入所者…障害者を標的
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160726-OYT1T50157.html?from=ytop_main2
神奈川県相模原市緑区千木良の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で26日未明、19人が首を切りつけられるなどして死亡、26人が重軽傷を負った事件で、殺害されたのは全て入所者だったことがわかった。凶器の刃物3本や職員らを縛ったとされる結束バンドを準備して持ち込んだとみられることから、県警は殺人未遂容疑などで逮捕された元職員植松聖容疑者(26)が障害のある入所者を狙い、計画的に犯行に及んだとみて調べている。警察庁によると、1989年(平成元年)以降、死者の数として最悪の殺人事件だという。(後略)』
この容疑者、「国の為だの障害者の為だの」と屁理屈をこねて犯行予告までしていたようですが、こうした類の犯罪者の大きな特徴(共通点)は、必ず自分よりも弱い立場(存在)の人間(対象)を標的にすることです。ときおり、兎や猫や鳥などの小動物が惨たらしく殺されるニュースがありますが、それらもその類の一つです。
理由は簡単で自分が弱いからです。
過去の事例から見て、たいていの場合このての大量殺人に至る犯罪者は「男」です。即ち「男の出来損ない」です。出来損ないの中でも最低ランク級の類です。
今にはじまったことではなく、例えば「サカキバラセイト事件」「秋葉原通り魔事件」「大阪池田小の宅間事件」もすべてそうでした。
サカキバラセイト事件は自分よりも弱い小さい子供が標的にされました。秋葉原通り魔事件は自動車という乗りもので歩行者という弱い立場の人たちに突っ込んでいきました。大阪池田小事件の犯人・宅間守も小学校を、しかも自分よりも腕力の劣る女性教師の担任教室を標的にしています。
卑怯極まりなく弱いものにしか挑むことのできない「男の出来損ない」なのです。
いつも疑問に思うのですが、これらの凄惨な事件が今や定期的に発生しているにもかかわらず、なぜか文部科学省や教育委員会は現在の教育体制(教育論)に根本的な問題がないのかの検証を一切しません。
川崎市でも昨年、中学一年の男子が多摩川の河川敷で少年らによって殺害されるという痛ましい事件が発生しました。事件をうけ教育委員会は再発防止に向けて行政的に取り組みを進めましたが、家庭、学校、警察との連携がどうのこうのと本質論から外れた枝葉末節な議論に終始しています。
これは私の持論ですが、「健全なる男」を創ろうとしない戦後教育体制を続けているかぎり数年に一度はこうした許しがたい事件が繰り返されることになるでしょう。
男性の方ならお解りになって頂けるものと思いますが、男は鉄と同じで「たたかれないと」強くなれない性質なのです。
ところが、戦後教育は「褒めて育てる」「体罰は悪」「子供に恥をかかせてはいけない」「ありのままの自分が大事」「子供は権利の主体」を原則にしてきました。
しかし、これらは悉く間違った教育論です。こんな教育論で教育を受けていたら社会にでて通用する人間(男)になんてなれるはずがありません。
例えば新入社員になると、だれでも恥をかくことや叱られることも多く、ありのままの自分でいたらいずれ会社に必要とされなくなります。褒められて育てられた人間は、常に褒められるために行動しようとします。しかし会社はふつうに働いてあたりまえの世界であって誰も褒めてなんてくれません。また、褒められて育てられてきた人間は、失敗してもすぐ人のせいにするか言い訳をします。なぜなら、褒められて育てられてきた自分に間違いがあるわけなどないと考えるからです。
だから子供は「権利」の主体ではなく「進歩」の主体でなければならないのです。
また「体罰」は進歩を目的とした有形力の行使です。進歩を目的としていない有形力を「暴力」といいます。現在の教育行政は体罰と暴力をごちゃ混ぜにしています。
とはいえ、私の小・中学校時代には事実上、体罰もあり、叱られもし、子供の権利などという馬鹿げた教育思想は存在しませんでした。
しかし、この20~30年の間に上記のような間違った教育論が実質的に強化されてゆくことになりました。
今回の事件の容疑者は26歳とのことです。この男が小学校に入学して中学校を卒業した義務教育期間は約20~10年前のことになります。
ご承知の通り、製造業者等の損害賠償責任について定めた製造物責任法(PL法)という法律があります。社会にでて5~10年以内に犯罪を犯した場合、その犯罪者を教育した親と学校と教育委員会に製造(教育)責任を問う、教育行政版PL法を制定すべきではないでしょうか。
そうでもしないと教育論の根本から見直すという真の意味での教育改革は遅々として進まない、ということを本気で考えている次第です。