昨日(29日)、総務省から2015年国勢調査(抽出速報)が公表されました。
さっそく日本経済新聞は、全ての都道府県で初めて65歳以上の高齢者の割合が15歳未満の「子ども」の割合を上回ったことをとりあげ、老人ホームなどの入居者の急増や介護などの受け皿づくりと併せて高齢者に相応の負担を求める社会保障制度改革の必要性を記事にしていました。
「負担したくなかったら、消費税率を上げるしかないでしょ・・・」とでも言いたげな語調が行間から読みとれます。さすが、財務省の御用新聞 !?
さて、その国勢調査抽出速報の有配偶率の頁をみますと、55.5%(女性)となっていました。1980年以降、女性の有配偶率は連続で下がっていることになります。
しかし意外とあまり知られていない事実ですが、我が国では1990年以降、有配偶女性の出生率は上がり続けています。
ここで以下3つの事実から、一つの仮説を立てることができます。
事実①:有配偶率は下降している。
事実②:有配偶出生率は上昇している。
事実③:若者の実質賃金が低下している。
①+②+③=デフレと構造改革が有配偶率低下の要因!?
デフレ及びデフレを促進する構造改革が断行されたことにより、若者の実質賃金が低下して結婚する人は減る。一方で、結婚することが可能なほどの経済力のある人は子供を産んでいる・・・という仮説です。
上のグラフは2010年までの数字ですが、前述のとおり、昨日(29日)公表された国勢調査抽出速報によると女性の有配偶率は55.5%でした。有配偶出生率の2015年の数値は未だ明らかになっていませんが、1990年以降は確実に上昇しています。
一方、1990年以降(『日米構造協議』以降)、我が国では新古典派経済学(新自由主義)に基づく構造改革が進んでいくことになります。その一つが労働規制の緩和です。「雇用の流動化」の名のもとに非正規雇用が増えていきました。
さらに橋本内閣による緊縮財政によって、日本は1996年をピークに名目GDPが下がりはじめます。いわゆるデフレ突入です。以降、我が国の実質賃金は下のグラフのとおりです。
また、下の表のとおり、非正規雇用の男性の配偶率は正社員に比べて、明らかに低くなっていることが解ります。
以上のことを踏まえますと、デフレ及びデフレ期の構造改革というものが、いかに日本社会に弊害をもたらしてきたのかが解ります。