政府は熊本地震からの復旧や復興を進めるために7780億円の補正予算を組みます。
その補正予算案はすでに国会に提出され、与野党合意のもとに早ければ17日には成立する見込みです。
『首相 補正予算案の早期成立で復旧復興を加速
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160513/k10010519971000.html
熊本地震に対応するための今年度の補正予算案は、13日国会で審議入りし、安倍総理大臣は、被災者の生活再建などに機動的に対応するため財政面からも万全を期す必要があるとして、補正予算案を早期に成立させ、復旧・復興を加速したいという考えを示しました。(後略)』
これを受けて、民進党代表代行の蓮舫参議院議員が以下のような発言をしています。
「(前略)・・・なるべく早くこの補正予算案を、私達も協力して、現地の復旧・
(2016年5月12日・定例記者会見にて)
前半部分は仰るとおりご尤もです。復興、復旧のために速やかな補正予算案の成立とその執行が求められています。
私は、この発言を否定するつもりは全くありません。が、氏の端々に出てくる言葉がどうしても気になります。
例えば、上の赤文字部分の「この限られた財源を・・・」です。
かってに「限り(上限)」をつくらないでほしい。
この言葉の前提には、「クニノシャッキンガァ~」という、れいの宗教的観念があるのでしょう。「日本は多額の借金を抱えているんだから、これ以上の無駄遣いはできない・・・」というニュアンスです。
安倍政権は憲政史上、国民を最も貧しくした内閣になりつつありますが、唯一の功績があります。それは、政府の実質的な負債を減らしたことです。
厳密にいうと、安倍政権というよりも黒田日銀の量的緩和の功績です。
中央銀行たる日銀が大量(200兆円以上)の国債を購入したことにより、政府が返済すべき負債が実質的に減ったのです。
中央銀行は日本政府の子会社です。親会社の負債を子会社が買い取ったら連結決算で相殺されるのと同じように、日銀が国債を購入したら、政府には返済義務がなくなります。べつに政府が日銀に返済してもいいのですが、結局、国庫納付金というかたちで政府にその金額が戻ってくることになります。(現にそうです)
日銀以外にも、公的年金や年金基金などの公的機関が国債を保有していますので、その意味では実質的な政府負債(国債)はもっと小さいといえます。
なおかつ、今はまだデフレになるほどの供給能力をもっている我が国においては、中央銀行が日本円を発行し、それを政府が借りて使うことが十分に可能な状況なのです。
「そんなことをしたらハイパーインフレになるぅ~」とかいうバカがたまにいますが、日本のように超デフレで苦しんでいる先進国においてハイパーインフレーションになる可能性などありえません。これまでの負債残高の推移と長期金利の推移をみても明らかです。
このように、日本政府の負債(国の借金ではありません)が実質的に減っている事実を、なぜマスコミも政治家も財務省も認めようとしないのか。
要するに、カネはあるんです。あるのにもかかわらず、無知からくる誤った財政観により、必要な政府事業を削減してきたのが今の政治なのでございます。
そういえば、民主党政権時代、蓮舫参議院議員は事業仕分けとやらに必死でした。その事業仕分けで鬼怒川の堤防改修予算を切らなければ、あのような被害には至らなかったはずです。
政治家の無知は、ときに国民を殺してしまうことになります。