外国為替市場では円高が進んでいます。
大手輸出企業のみならず、為替相場が経営に影響する中小企業にとっても警戒すべき問題です。
『「暴力的な円高」日商の三村会頭が警戒感
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160407/k10010470731000.html
外国為替市場で円高が進んでいることについて、日本商工会議所の三村会頭は7日の記者会見で、「暴力的な円高だ」などと述べ、今の円高は急激で、今後、中小企業の経営者の心理にも悪影響を及ぼしかねないと警戒感を示しました。(後略)』
欧米市場でも、1ドル110円を突破しました。2014年10月末に日銀が金融緩和をはじめて以来の高値ということです。
本日の東京市場は、現在このブログを書いている段階で108.68~108.69円の水準です。
上のグラフのとおり、今年に入ってから円高基調が続いています。
その要因として、アメリカFRBの利上げペースの見通しに変化が生じたことを識者の多くは指摘しています。年に4回を計画していた利上げペースが年に2回、もしくは1回に鈍化すると言われています。よって、日米の金利差は広がらない、という予測が円高につながっているということです。
加えて、円キャリートレードで新興国に投資されていた資金が回収されることによる「円への巻き戻し」の影響も大きいようです。
このように諸々の要因が重なってのことなのでしょう。
それにしても、そもそもなぜ当初はアベノミクスによって円安になったのかを考えてみたいと思います。
そもそも黒田日銀が金融緩和(量的緩和)したことによって円安になったわけですが、考えてみれば日本のインフレ率は上がっていません。
本来であれば、インフレ率が上がり、購買力平価の調整によって円安ドル高になるという理屈になるはずです。しかしご承知の通り日本のインフレ率はゼロです。
となると、アベノミクスによる円安は投機的な動きだった、ということになります。
国内には、これ以上の円高を阻止するための更なる金融緩和を求める声があがっています。
しかしながら、前述のとおり円安が投機的な動きによるものであったのなら、今回の円高も多分にして投機的な動きとみるべきです。であるとした場合、さらなる金融緩和でも円高は解消されないでしょう。
そもそも為替レートを操作するための金融緩和は国際的に認められていません。むろん、政府も日銀もそのために金融緩和を行っているとは言ってませんが・・・
要するに、インフレ率を上昇させることができれば自然に円安にむかうはずです。
詰まるところ・・・インフレ率を上げる=デフレを脱却する・・・です。