地方債の利回りが低下しています。
利回りが低下しているということは、地方債が購入されているということです。
金利がマイナスになるほど国債の価値が上昇してしまったため、地方債が買われているようです。たとえ低利回りでも地方債という安定した一般政府の債権で運用したいという投資家心理の顕れなのでしょう。
『地方債、超低金利でも人気 マイナス金利の国債避け資金流入
http://www.asahi.com/articles/DA3S12271289.html
日本銀行が1月末に導入を決めたマイナス金利政策の余波で、地方債の利回りが歴史的な低水準になっている。それでも、国債の利回りがマイナスで推移するなか、わずかでもプラスの利率がつくことで投資家の人気は高い。(後略)』
市場の国債が既に枯渇しているため、これ以上の国債購入に踏み切れなかった黒田日銀。結局、当座預金にマイナス金利をかけることで貸出しを増やし、それで民間投資を促そう、という目論見だったようです。
しかし残念ながら、銀行の貸出しは増えていません。
どれだけ銀行の貸出しが増えたのかを示す『マネーストック』をみると・・・
グラフのとおり、1月から2月にかけてマネーストックがむしろ減少してしまいました。
現在の準備預金率(その他の預金 2兆5千億円超)は、1.3%です。日銀当座預金は約250兆円ですので、全ての銀行が貸出しすることのできる限度額は約2京円にまで及ぶのですが、現実は919兆円程度の貸出しです。
貸出しが増えない=投資が増えない
・・・ということです。だからこそ資金の行き場がなくなり、その資金が国債や地方債に向かっているということです。
その国も地方行政も、緊縮財政主義により公共投資をやろうとしない。そのおかげでインフラの老朽化が進んでいます。例えば首都高横羽線なんか、常々私は恐る恐る利用しています。大師橋なんぞは、首都直下型地震がきたら真っ先に崩落するといわれていますので。
私の選挙区の多摩区にも、耐用年数をむかえている老朽橋梁が複数あります。が、現在、川崎市では架け替え対応ではなく長寿命化修繕によって対応しています。先述の通り、行き場を失ったおカネがふんだんにあるのですから、建設債を発行して架け替えたほうがあらゆる面において市民利益になるはずです。
なぜなら、防災安全保障の為にも公共インフラの整備が必要というだけでなく、国や地方行政が“長期にわたるインフラ投資”をコミットメントすることによって必ず民間投資が促され、結果として税収も増えるからです。
スティグリッツ教授やクルーグマン名誉教授らが「財政出動しなさい」と総理に進言しているのは、これらの理由からです。
いつもいうとおり、属米主義者さんたちの愛する米国様のご進言です。
主権国家としては誠に屈辱ですが、この際それでも結構です。総理をはじめ自治体の長の皆さん、ぜひ正しい政策をお願いします。