本日は、昨日のブログで申し上げた件について補足します。
評判悪しき民主党政権時代に「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズで公共事業を削減しましたが、実はそれ以前から公共事業費は削減され続けてきました。そのことは昨日のグラフ(公共事業の推移)でも明らかです。
因みに、グローバリズム政策を推進した小泉内閣も、民主党に負けじ劣らず公共事業費を1/3に削減しています。橋本内閣以降の自民党政権で、公共事業費を僅かながらにも増やしたと言えるのは小渕内閣と麻生内閣ぐらいではないでしょうか。
さて、下のグラフをご覧ください。
このグラフは国債種別で発行残高の推移をみています。
国債は赤字国債、建設国債、復興債に種別されます。ここでは、赤字国債と建設国債の発行残高をみています。復興債についてはごく僅かなので省略します。
グラフをみると、デフレに突入した1998年度以降、青いグラフの建設国債はほぼ一定水準であるのに対し、赤いグラフの赤字国債が飛躍的に増え続けていることがわかります。
昨日も申し上げましたが、赤字国債(特例公債)は税収の穴埋めのために発行される国債であり、建設国債は公共事業のために発行される国債です。赤字国債で公共事業を行うことはできません。
因みに、赤字国債の正式名称は「特例公債」です。赤字国債の発行は財政法という法律で禁止されているため、毎年特例的に法律をつくって発行されています。だから「特例公債」といいます。一方の建設国債を「4条国債」と呼んだりします。建設国債は財政法第4条に基づく合法的な公債だからです。
更には、オレンジ色の折れ線グラフをみると、我が国の一般会計の税収は1990年度をピークに右肩下がりとなっています。
この税収不足を補うために赤字国債が発行されてきたのです。
では、なぜ税収は右肩下がりなのでしょう?
それは・・・デフレ・・・だからです。
デフレとは総需要(名目GDP)の不足によって、物価と実質賃金と実質消費が相乗的に縮小する現象です。
税収は、下のグラフのとおり名目GDPに相関します。
1994年度から2014年度までの名目GDPと税収の相関係数は「0.71」です。
税収は基本的に名目値で納められますので名目GDPと相関して当然です。
このようにしてみていくと、むしろ我が国は公共事業をまともに行ってこなかったがゆえに、税収不足を招き赤字国債の発行残高が増えてしまったといえます。
なぜなら、公共投資は公的固定資本形成という立派なGDP需要項目です。それに、建設国債は国民の安全保障を担う公共インフラ(生産資産という国富の一部)をも構築します。
生産性の向上や防災力を高めるための公共インフラを構築することによりデフレギャップを埋めることが可能です。またそのことで税収不足を賄うこともできます。自然、赤字国債の発行残高も縮小していきます。
「国債=国の借金=すべて悪」という“偽りの一括り”で財政や経済問題が論じられているところに、現在の日本国の危機があります。