昨日は「株価と実体経済」について取り上げましたが、2月12日付けの日本経済新聞に以下のような記事が掲載されています。
『官房長官、株1万5000円割れ「市場心理は悲観的過ぎる」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12HQ0_S6A210C1000000/
菅義偉官房長官は12日午後の記者会見で、日経平均株価が1万5000円の大台を割り込んで1年4カ月ぶりの安値を付けたことについて「我が国の経済は足腰が極めてしっかりしている。市場心理は悲観的過ぎるのではないか」と語った。(後略)』
菅官房長官のいう「市場」とはもちろん株式市場(東証一部)のことを指しているのだと思いますが、あたかも「市場」という一人格が擬態として存在しているかのような言い方です。因みに、官房長官のいう市場には実体経済は含まれていないでしょう。
ここのところの株価の推移をみていると、円安になれば株高、円高になれば株安となっています。
現在、多くの海外株投資家はコンピューターによる自動株トレードを行っています。それらは円安の時には日本株を買い、円高の時には日本株を売るというプログラムで動いているそうです。
要するに、円安のとき日本の株は割安。反対に円高だと日本の株は割高、ということのようです。
上のグラフは、第二次安倍内閣発足後から昨年12月までの為替レートと株価の推移をみたものです。グラフのとおり、為替レートと株価が見事に連動しています。
つまりアベノミクスに伴う黒田日銀の金融緩和で円安となり、割安になった日本株が買われたことで、これまで日経平均株価が上昇してきただけのことなのです。
ところがここにきてアメリカが利上げし、シナを含む新興経済国の失速もあり、それまで外貨に両替されていた円が買い戻されるに至り、結果、海外投資家らが日本株を売っているようです。
現在の株価下落は、ただそれだけの話です。
海外投資家らが、日本にいわゆる構造改革(例えば、法人税の減税などを含む)を求めていることはご承知の通りです。また、その構造改革がデフレを促進していることも明らかとなっています。
現在の日本国では、株価が下落すると「構造改革が足りない、だからもっと構造改革を進めなければ・・・」という最悪の政治が行われています。
株価に一喜一憂するまえに、まずはデフレギャップを埋めてほしいという実体経済の声に耳を傾け応えてほしいのです。