実質賃金、および消費支出の低迷により実体経済(GDP)が上向かず、アベノミクスは頭を抱えています。
そうした中、政府は非正規雇用の格差是正にむけて指針をまとめるようです。
『「同一賃金」指針で明示 政府検討、非正社員の格差是正
手当や経費、同額を支給
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H6O_Z10C16A2MM8000/
政府は同じ仕事なら同じ水準の賃金を支払う同一労働同一賃金制度の実現に向けた指針をまとめる。正規や非正規といった雇用形態の違いだけで賃金に差をつけることを原則禁止し、通勤手当や出張経費などの支給額も合わせる。勤続年数などによる賃金の差は認め、日本の賃金体系の実態に配慮する。非正規社員の待遇を改善し、働きやすい環境をつくる。(後略)』
これまで散々に雇用規制を緩和しておきながら、今更何を言っているのでしょうか。
グローバル投資家や企業、あるいは政府に巣食うグローバリストらの要求に応じて、雇用規制を緩和し非正規雇用を増やしつつ、あまつさえ過日の派遣法改正においては非正規雇用者が正規雇用に転ずる機会をも奪いました。
統計は雄弁です。
既にご承知のとおり、正規雇用は減る一方で非正規雇用者が増えています。というか、そのようになるための政策を政府が打ってきたのですから当然です。
加えて下の図の通り、コーポレート・ガバナンスとかいう株主至上主義により労働分配率は右肩下がりです。
一方、給与階級別給与所得者数の構成比をみると、年収400万円以下の男性給与所得者比率は42.3%にまで及んでいます。(男性給与所得者の4人に一人が年収300万円以下)
むろん、これらのすべてがアベノミクスの責任ではありません。歴代の政権が進めてきた新自由主義的、あるいはグローバリズムに基づく経済政策の結果です。
間違った政策の結果によって生じた矛盾を表面的に修正しても効果はないでしょう。
戦略の失敗を戦術で補うことは不可能です。