昨年の通常国会で、農地法や農業委員会法など、いわゆる「農協改革」にともなう一連の関連法が改正されました。
「改革」という名がついてしまうと、すべて良いことと思われがちです。
ですが、政治はある種の情報戦です。政府やマスコミが垂れ流す「ことば」(造語)をそのまま鵜呑みにしてしまうと、事の本質を見失ってしまうことが多々あります。
現在、国によって進められている農協改革が本当に改革に値するものであるのかどうかの検証が必要です。
私は昨年の川崎市議会で、国が進めようとしている「農協改革」について市長がどのようなご認識をお持ちになられているのか質問しました。
すると、「この度の農協改革が本市の積極的、意欲的な農家の追い風となるよう期待している」というご答弁でした。
おそらく市長個人の見解というより、川崎市当局が作成した答弁(見解)と思われますが、いずれにしても川崎市当局としては、現在進められている安倍内閣の農協改革に期待を寄せている、ということです。
まず認識しなければならないことは、安倍内閣の進める農協改革はアメリカからの要請を受けて進められているということです。とりわけ、在日米国商工会議所が日本政府に強く働きかけていて、政府内に巣食う規制改革会議等の親米派らがそれに応えるかたちで着々と進められています。
断っておかなければなりませんが、私は決して日本の農業に改革は必要ではない、と言っているのではありません。
後継者不足や耕作放棄地の拡大など、日本の農業には取り組むべき問題は山積しています。
例えば耕作放棄地の拡大は日本の食糧安全保障を弱体化させることになります。しかし、一連の農協改革はむしろ、耕作放棄地を不動産ビジネスの対象にしようとするものです。
上の図のとおり、川崎市内の経営耕地面積はこの30年間で半分以下にまで縮小しています。
今回の改革で経営耕作面積が再び拡大されるのであれば文句はありません。ところが今回の改革が進むと、耕作放棄地がことごとく商業転用されて不動産ビジネスの対象になる可能性が大きいのです。それは川崎市のみならず我が国全体の食糧安全保障の弱体化につながります。
安倍内閣による農協改革が進むと、なぜ農地が不動産ビジネスの対象にされていく可能性があるのかについては明日また・・・