昨日(2月9日)、とある都内の会合で、自民党政調会長の稲田朋美大先生のご講演を拝聴する機会を頂きました。
講演といっても20分程度の時間でしたので、ポイントを絞られてのご高説でありました。
ご高説の政策に関する部分だけを私なりに要約すると以下のとおりです。
1.日本はGDPの200%を超える借金国。だから、あれもこれもと予算はつけられないので、国民一人ひとりの自助の力で社会を支えるのが「1億総活躍社会」です。
2.憲法9条を変えないと、日本はまともな軍隊が持てない。
3.民主党は批判ばかりで対案をだせない。
と、いったところです。昨日は、質問の時間も懇親の時間もありませんでしたので、ここでとりあえず突っ込みを入れておきます。
まず、「日本は借金大国」という表現は間違ってますよ、稲田先生。
それを言うのであれば、正しくは「政府の負債」です。下のグラフのとおり、日本は国家全体としては純資産国なのです。それも世界第1位というダントツの対外純資産国です。
また、政府の負債にしても、その債権者の90%以上は日本国民です。しかも、経常収支黒字国が自国建て通貨によって起債していますので、日本政府がデフォルト(債務不履行)する可能性はゼロです。
昨日、ついに我が国の長期金利がマイナスになりました。(与党の政調会長たる稲田先生がこのことについて一言も触れられなかったのが異様です)
長期金利がマイナスになっている、ということは、要するに市場に資金が有り余っているということです。かつ、銀行の保有する国債が足りないということです。
ということは、政府が国債を発行して需要をつくらなければならない状況にある、ということです。
では、どんな需要?
これまでにも述べてきたように、先進国のなかでも日本はインフラ整備がまだまだ遅れています。かつ自然災害大国でもあり、生産年齢人口の減少する我が国には、政府が行うべき投資(需要)が山ほどあります。
そもそも自助という個人の努力では完結できない安全保障を、国や自治体が責任をもって整備し確立するのが政治の役割でしょうに。
例えば、北朝鮮から飛んでくる弾道ミサイルを個人の努力でどのように防げばいいのでしょうか。あるいは鬼怒川の堤防決壊を個人の努力でどのように回避すればいいのでしょうか。与野党を問わず、インフラの意味をもう一度よく考えて頂きたいものです。
要するに、デフレである今は、政府が使うべきカネも、政府が行うべき投資も山ほどあるのです。
憲法については、また別の機会に。