政局は混迷をつづけている。次期政権がどのような枠組みになろうとも、次の二つの既定路線は変らないだろう。
1.消費税増税
2.税と社会保障の一体改革のための共通番号制度の創設
私は減税論者であるので、増税については言いたいことが山ほどあるが、まずは、これまで聖域とされ非課税扱いされてきたセクターからしっかり税を徴収すること。そして国会議員の定数を大幅に削減すること。さらには行政のムダを廃することなど、これらを断行したうえで増税議論をしてもらいたい。
一方の共通番号制度については、なかばそうせざるをえないと考える。なぜなら、正しい課税のため資産や所得などを正確に把握しなければならないし、社会保障の適切な給付やサービスの選択化・現物化のための新たな仕組みづくりを進めなければならないからである。
ただこれにも、大きな問題がある。
それは、去る3月4日の川崎市議会(予算審査特別委員会)においても取り上げた問題であるが、我が国、各自治体における住基ネットに関わる情報保護の仕組みが不十分だからだ。
共通番号制度が導入されれば各自治体の住基ネットと接続せざるをえないだろう。むろん、接続せずに運用するやり方もあるらしいが、その方向性はまだ流動的である。
そこで、3月4日の市議会において、次のことを質問した。
1.住基ネットに関わる情報漏洩について定期的な検査は行われているのか?
2.米国の国防総省のシステムでさえ、例えばシナのハッカーなどによって侵入されているが、川崎市にはそれらを防ぐ仕組みや、漏洩を発見する仕組み、処罰する仕組みは整っているのか?
3.現在の保護規制で個人の税務、医療データ等が接合され、それが情報通信、金融、医療、介護に使われていくとした場合、充分な保護がなされていると考えているのか?
4.国が進めようとしている税と社会保障に関する共通番号制度について、市民のデータを保護していくうえで、現在の国の法制度は充分なものと考えているのか?
概ね、以上の4点のことを質問した。
答弁のポイントは、現行システムは相応のセキュリティーによって守られているとしたうえで、情報漏えいがあった場合の罰則としては、住民基本台帳法、地方公務員法、市長事務部局における懲戒処分でしか対応することができない、ということであった。
個人データの情報漏洩があった場合の罰則について、地方公務員法や住民基本台帳法、市長事務部局の懲戒処分でしか裁くことができないということは、日本の国に国家機密を保護する法律や組織や制度が欠如している証左であり、悲しむべき実状である。
現状のままで、住基ネットと共通番号制度が接合されることになれば、国民一人ひとりの個人情報が大きな危険にさらされることになる。よって、国は早急に国防法体系の整備を図るべきである。個人情報も重要な国家機密の一つなのであるから。