とりわけ、重症患者を搬送する際、現場滞在時間が30分以上かかったケースの割合が、川崎市は政令指定都市の中で最も多く最悪の状態です。この現場滞在時間を短縮することが本市の救急医療体制の大きな課題です。
私は、これまでも議会において、人口あたりの療養病床数が少ない都市ほど救急車の現場滞在時間が長くなるケースの割合が多くなっている、という客観的事実を示しつつ、療養病床を充実させることが現場滞在時間を短縮するための最も効果的な改善策であることを提案してきました。
なぜなら、療養病床が少ない川崎市においては、一般病床で長期入院患者を療養させなければならず、このことが、急性期病院が救急患者(重症患者)を受け入れる際の障壁になっている、と思われるからです。
したがって、全国の政令市の中でも人口あたりの療養病床数が一番少ない本市においては、療養病床を充実させることが急務です。
このような観点から、昨年(平成21年)第4回定例会一般質問において、救急搬送の際の現場滞在時間短縮にむけて質問にたちました。
その結果、麻生区の王禅寺で新たに137床の療養病床を有する民間病院の建設が進められていることがわかりました。この病院が完成すれば、人口10万人に対して療養病床85床という本市の現在の低水準がおそらく90床半ばぐらいまであがり、ようやく横浜市並みの水準に達することができます。
病院のベッドは、医療法の制約のため、川崎市においてはこれ以上増やすことはできませんが、市内の病院には使用されていない一般病床があります。これらの一般病床を療養病床に転換すれば、救急患者の受け入れ体制の改善につながります。
また、人口呼吸器などの高度な医療を必要とする患者さんが、急性期の治療を終了し慢性期になったとき、自宅で介護することは非情に困難です。しかし、川崎市内には、人工呼吸器が必要な患者さんを受け入れる療養病床をもつ病院はほとんどありません。
そこで、市立川崎病院および市立井田病院において人口呼吸器をつけたままで長期に入院している患者さんはどのくらいいるのか?を質問したところ・・・
木村実(病院局長)より、一般病床に30日以上入院している患者数は川崎病院で136人、井田病院で67人。そのうち人口呼吸器を装着している方は川崎病院に6名いる、との答弁がありました。
現在、急性期医療を担う市立病院だけでも6名の患者さんがいるとのことですが、当然のことながら、ほかの民間病院にも多数おられます。しかし、療養病床の不足した本市においては、こうした人口呼吸器をつけた療養患者さんは、相模原市や茨城県のような遠距離の病院に転院されているのが実状です。
したがって、療養病床を増やすにあたっては、ただ漠然と増やすのではなく、自宅では介護が困難であり、かつ長期の医療が必要な最も療養病床を必要とする患者さんを速やかに受け入れることが可能となるような整備を進めなくてはなりません。
そのことを、当局に対してつよく要望しました。