平成7年以来、共産党を除く各政党に、政党助成金が法律に基づいて交付されている。平成18年度の決算ベースでは、交付額の総額は300億円を超える。むろん、その原資は税金である。結果、国民ひとりあたりの負担はおよそ250円となる。
この制度の根拠法は政党助成法という法律だ。この法律は、政党助成法金の目的を次のように謳っている。
「政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与する」
私は、政治とは、手段と目的の明確化こそ、その根本と考える。その点、この法律が政党政治の発展という目的を果たすための有益な手段であるかどうか、を疑わざるをえない。
そもそも、助成金なり補助金なるものは、真の弱者にこそ与えられるべき性質のものであって、もし弱者でないものがそれに甘んじるようになれば、堕落と怠慢をもたらしかねない諸刃の剣なのである。
政党は果たして弱者か。
とりわけ、民主党と自民党の助成金への依存率が高くなっている。自民党は収入の約6割、私の属する民主党はなんと収入の9割近くを占めている。
民主党の活動内容をみても、その活動の大部分は実質的には選挙活動だ。また、民主党の場合、この助成金はいったん政党本部に交付され、その一部が地方の支部組織に分配される。地方の支部組織の責任者は国会議員もしくはその候補者である。彼らは、地方自治体が国の補助金を当てにするのと同じようにして、本部からの補助金を乞うているのが実態だ。その本部からの支給の大部分は、その選挙区で立候補する衆・参の国会議員の活動費に充てられる。
本来、政党および政治家なるもの、自らの志とビジョンを世に問うて、それらを説得したうえで政治資金を調達すべきである。自然、口ばかりで何も行動しない政党や政治家には、資金を出すものはいなくなるであろう。それこそが政治家の能力を高め、政党機能をも強化させる最高の手段である。
政党助成金が交付され、政党の国庫依存が高まり、それが常態化すれば、必ず政党機能は衰退することを私は確信する。ましてや、それで選挙費用の大部分を賄っている、ということになれば、生活保護費を生活扶助に充てず、ギャンブルに消費している輩と同じではないか。
議会制民主主義の先輩であるイギリスにも、こうした政党助成金制度があるが、それはあくまでも「政党の政策開発活動に対する助成」であって、選挙活動を支援するためのものではない。ちなみに、イギリス国民一人あたりの負担は、たった7円程度である。
そこで私は次の3点を提案する。
1. 政党助成金制度を廃止する。
2. 政治資金規正法を改正し、寄付の制限を緩和して使途の自由も保障する。
3. 政党も政治家も1円以上の収支について100%の透明化を図る。
つまり、誰からいくら貰おうとかまわない。そのかわり、献金者の国籍や氏素性を明らかにする。そして誰からいくら貰ったのか、何にいくらつかったのかを政党や政治家は完全に情報を公開する。
そのうえで、有権者がその政党・政治家の当落を判断すればいい。
我われ国民が政治に求める究極の目的は、よりよい国と社会をつくってもらうことであって、政治家に精錬潔白であってもらうことではない。