三宅隆介
私は、まず市長が今進めている行財政改革プランに関してお尋ねをさせていただきたいと思います。この行財政改革プランの冊子の冒頭の「はじめに」という文章の中で、「行政を小さくして民間活力を引き出す」という文言が出てくるわけでありますが、この改革プランの基本思想というものがいわゆる小さな政府論にあるんだということがここでわかるわけでありますが、私自身も、これから迎える少子高齢化、グローバル化あるいは環境制約の高まり、こうした前提条件を考慮すれば、やはりこの小さな行政というものを志向していくのが時代の必然だと思っております。とすれば、民間事業者の自由な競争を確保しなければならない。まさに市長のお言葉どおりだと思うんです。
ただ、改革がまだまだ始まったばかりですから仕方ない部分もあるんですけれども、本市においての民間事業者の自由な競争というのはまだまだ不十分ではないかという気がしております。特に教育や福祉の分野の新規参入が極端に少な過ぎると思います。明らかに需要過多となっておりまして、例えば教育について言えば、戦後、この川崎市内で新設された私立小学校はたったの1校だけということでございます。さらに、保育所も不足しておりまして、多くの待機者が出ているのは周知のとおりでございます。また、待機児童だけではなく、病院に行っても3時間待ちの3分診療はまた当たり前でございまして、介護施設もさらに足りない。私が聞いた話なんですけれども、最近は火葬場も足りなくて、なかなか火葬していただけないような実態もあったり、東京の方では刑務所が足りなくて犯罪者が待っているような、そんなような状況でもあるということなんですけれども、つまり、揺りかごから墓場まで、そこらじゅうで待ち人が多い。本市を含めて、これは全国的な問題だと思うんですけれども、こんな状況であろうと思うわけであります。つまり、もっともっと民間の活力を引き出して、積極的に新規参入を促して、そして供給の多様化を図るべきだと思います。
そこで、昨今、内閣の構造改革推進室が窓口となっている構造改革特区制度を利用しまして、各分野で参入促進を進めている自治体もありますけれども、本市においてもこうした制度を生かして待機者解消に努めて、それぞれの分野での待機者解消にやはり努めていくべきではないかと考えております。確かに第1回目の特区申請では、本市の関係では港湾関係の2つの特区が認められているわけでありますけれども、残念ながら、その後の募集では申請をなさっていないということでありました。この特区制度というのは、まさに昔、織田信長が楽市楽座をやったようなものでございまして、すばらしいチャンスであると思うんですけれども、信長もまた全国一律に楽市楽座をやったわけではありませんで、堺だとか安土だとか、できるところから少しずつ風穴をあけて、中世の古い利権とか古い規制を壊していった、こういうことでございますので、今後、もっとこうした特区制度を積極的に生かして、参入促進を図っていただきたいと思うんですけれども、市長の見解をいただきたいと思います。
市長(阿部孝夫)
構造改革特区制度の活用についてのお尋ねでございますけれども、現在、国において推進されておりますいわゆる構造改革特区制度は、従来の全国一律の規制から地域の特性に応じた規制へと転換を図るものでありまして、こうした規制改革を通じて、国から地方へ、あるいは官から民へという構造改革を進めるための起爆剤になるものと受けとめているところでございます。また、こうした規制改革を通じまして、地域の特性に応じた新たなビジネスの展開が図られることによって新産業や雇用が生まれて、本市のみならず、首都圏、さらには日本の経済再生につながるということもあわせて期待するものでございます。
本市におきましては、特に今、川崎市政において重要だと思われるものに限定して申請いたしてまいりましたけれども、本年5月に臨海部再生を目指す2つの特区、1つは国際環境特区、これは公約でございます。そしてもう一つは国際臨空産業・物流特区、この2つの認定を受けまして、現在、事業の推進に取り組んでいるところでございます。さらに、特区制度の一層の活用を図るために、庁内会議を設置して、連絡体制を整えて、他都市との意見交換や相互研究を図りながら、行革国民会議の主催する構造改革特区推進会議にも参加して検討を進めているところでございます。
今後とも市民サービスの充実、向上を図るために、行財政改革プランでお示ししましたように、民間でできるものをできるだけ民間にお願いをして、民間の活力によって市民サービスが充実するように、そういう改革を進めてまいりたいと思っておりますけれども、そういう中で御指摘のような今後の特区の活用についても検討を進め、とにかく民間の力を積極的に導入するように努めてまいりたいと思っているところでございます。以上でございます。
三宅隆介
行列ができるというのは、崩壊前の旧ソ連と同じようなものでございまして、余りいいことじゃないと思いますので、華やかな自由経済といいますか、にぎやかな自由競争行政といいますか、市政といいますか、社会をぜひともつくっていただきたいと思います。