◆「市営地下鉄」問題について
いま、川崎市では、市営地下鉄(川崎縦貫高速鉄道線)整備事業がその是非をめぐって大きな政策課題となっています。
この地下鉄の路線計画は、小田急線・新百合ヶ丘駅を起点に宮前平、元住吉を経てJR川崎駅まで、その距離およそ22km。事業主体は、建設・運営ともに川崎市交通局です。沿線地域の活性化や鉄道不便地域の改善、既設鉄道路線の混雑緩和など、この地下鉄事業への期待はいまも大きい。
しかしその一方、資金総額が1兆円を超える巨額な事業であるということ、しかもその市債償還が40年以上にも及んでしまうといことから、この地下鉄事業を将来にわたって財政的に支えきれるかどうか、大きな懸念の声もあります。
もちろん行政サイドでは、需要予測や建設事業費の見直しを含めて、入念にその検証作業を進めています。
そこで今回、市はその検証結果を前提に、市民1万人を対象としたアンケート調査を行なっています。アンケート実施結果を明らかにした上で、本年6月中にも行政としての最終的な判断を行なう予定です。
私は、あくまでも採算性によって、その建設の是非が判断されるべきだと考えます。
◆「まちづくり委員会」に決まる
川崎市議会には、5つの常任委員会があります。
本会議の下部組織として、それぞれの委員会において市政運営に対する専門的な質疑が行われています。
議員は必ずひとつの常任委員会に所属することが義務づけられており、今回、私は「まちづくり委員会」への所属が決まりました。
当委員会は、市のまちづくり行政や建設行政の運営に関することを議論する委員会で、市民生活に最も密着した行政分野といっても過言ではありません。
この委員会で、どのような議論がなされ、どのような結論が下されたのか、市政レポートや街頭演説などを通じて、市民の皆様にしっかりと提示して参りたいと存じます。
◆少子高齢化を考える!21世紀の楽市楽座を・・・!
高齢化社会が目前に迫っています。いや、もう既にはじまっています。
それは、高齢者の平均寿命が延び不老が進んだこれまでの嬉しい高齢化とは異なり、子どもの数が減少したため相対的に高齢者が増えたといういわば寂しい高齢化です。
しかしこの現象に対し、行政もマスコミも、過剰ともいえる極端な悲観論をふりかざしています。たしかに、このまま高齢化が進めば経済の活力は失われ、医療や介護、年金の負担の重みで財政が破綻するのは確実です。
が、その前提となっている行政システムや高齢者に対する社会的概念を改めることにより、けっして悲観論に埋没する必要はありません。
たとえば、現在の行政基準は、15~65歳未満を生産年齢人口、65歳以上を老年人口と位置付けています。しかし昨今、65歳を過ぎてもなお、現役で就業につきたい意欲的な高齢者も多くみられます。若年人口の減少するこれからの社会では、65~70歳未満の人々が働ける条件を積極的に整えていくべきであります。
また、潜在的な消費能力(貯蓄力)を多分にもっているのも高齢者です。ただ、高齢者にとって魅力的なマーケットが乏しいため、高齢者はお金を使わない。多くは貯蓄にまわってしまう。
金融改革や規制緩和をつうじて、高齢者が本音で得たいと思う商品・サービスが多様に供給される社会をつくるべきです。なぜなら、高齢化はある一面「多様化」でもあるからです。そもそも人間は、年を重ねれば重ねるほど他人と違ってきます。体力や知力、家庭環境、社会的地位など年を経るにつれ違ってくるのです。とくに、福祉消費者としての高齢者を考えた場合、行政主導の規格化画一化の医療・介護サービスでは、高齢者は真の満足を得られません。西欧型福祉社会の欠陥はそこにありました。民間活力と消費者の選択に委ねた仕組みによる福祉の多様化が必要です。
しかし、これからの高齢化社会を考えたとき、高齢者を一概に福祉消費者(タックスイーター)と断定してはなりません。65歳を超えてもなお就業可能な活力に満ちた社会を構築するべきです。もはや高齢者は「老人」と限らない時代です。
多様な価値を創造する民間活力をひきだす一方、消費者が好みの価値を獲得できる「21世紀の楽市楽座」こそ、これからの少子高齢化社会には必要だと考えます。